...夕暮近(ゆふぐれぢか)き野路(のぢ)の雨(あめ)...
泉鏡花 「怪談女の輪」
...線は夕暁のする野路(のぢ)をゆく少女の右腕の内側のうぶ毛のそよぎ...
大手拓次 「「香水の表情」に就いて」
...春雷や傘を借りたる野路(のじ)の家四月二十七日 村上村上平...
高浜虚子 「六百句」
...翌日は吉野路(よしのじ)を通って...
田中貢太郎 「神仙河野久」
...すると私は、今更のように在りし日の母の俤(おもかげ)を偲(しの)び、済まない事をしたのを感じて、再び悔恨の涙が堰(せ)きあえず、あまり泣くので極(き)まりが悪いので、そっとうしろの裏山へ登って、少年時代の思い出に充(み)ちた森や、野路(のじ)や、畑の景色を瞰(み)おろしながら、そこでさめざめと泣きつづけたりするのでした...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...平濶(へいかつ)な野路の果てに遠く太陽をまともに受けて淡蒼(うすあお)い朝靄(あさもや)の中に霞(かす)んで見える比良(ひら)...
近松秋江 「黒髪」
...野路(のじ)や空月の中なる女郎花...
夏目漱石 「門」
...今度は野路(のじ)や空云々という題句やら書体やらについて語り出した...
夏目漱石 「門」
...その外衣がへ野路の人はつかに白し蚊の声す忍冬(にんどう)の花散るたびに水かれ/″\蓼(たで)かあらぬか蕎麦か否かの如きあり...
正岡子規 「俳人蕪村」
...草いきれのする裾野路...
百瀬慎太郎 「案内人風景」
...つまりは細い野路を一頭ずつ...
柳田国男 「海上の道」
...いちめんに野路や海辺を煙らせて見える...
吉川英治 「新書太閤記」
...四方田(しほうでん)政孝は、「はや、酉(とり)の刻」と、空を仰いで、発足(はっそく)の心支度を人々へうながしながら、「これよりは、野路山路、およそ京まで五里、おそくもほのぼの明けには、本能寺をひた巻きになし得る...
吉川英治 「新書太閤記」
...尾野路山の間道や...
吉川英治 「新書太閤記」
...(昭和二十八年七月)新・平家今昔紀行伊勢から熊野路の巻中山競馬場の会員席でのこと...
吉川英治 「随筆 新平家」
...梨丸は、馬の背に、主人をのせて、からくも、あれから水も飲まずに、野路から野路を、これまで引っ返して来たのである...
吉川英治 「平の将門」
...行けども/\同じ樣な傾斜の裾野路が續いて...
若山牧水 「樹木とその葉」
...今までよりは嶮しい野路の登りとなつてゐた...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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