...野末の逍遙心足りて...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...まぼろし追うてくたびれてしばし野末の假のやど結ぶや君よ何の夢さむれば赤したなごゝろあたりの風を匂はして笑むはやさしの花ばらか...
土井晩翠 「天地有情」
...旅人よ路を急げと海べをくれば波の音野末をゆけば蝉の声……妹 わたしはあんとき泥棒をうまくつくつたわね...
新美南吉 「ラムプの夜」
...日頃はあてもなく異性を戀して春の野末を馳せめぐり...
萩原朔太郎 「青猫」
...私はかなしい田舍の鷄(にはとり)家根をこえ垣根をこえ墓場をこえてはるかの野末にふるへさけぶああ私はこはれた日時計 田舍の白つぽい雄鷄(をんどり)です...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...野末の草花(さうくわ)は書院の花瓶(くわびん)にさゝれん物か...
樋口一葉 「軒もる月」
...秋の野末の稲妻のようにキラリと青い光が走る...
久生十蘭 「春の山」
...「野末の菊」――七月...
水野葉舟 「言文一致」
...赤い夕陽(ゆふひ)に照らされて……友は野末の石の下……と口ずさむと日露戦争中の哀愁が...
宮地嘉六 「老残」
......
三好達治 「山果集」
...散りて咲く野末の花のなつかしく露にぬれたる秋の花を渡殿朽ちし西の壺に人の贈りし春の花を蝦夷菊枯れたる池の畔に褄紅の撫子は露霜(つゆしも)降(お)りてめげたれど名よ脆かりし虞美人草(ひなげし)のやがて媚(いろ)ある花咲かん眉秀でたる妹あらばりぼんに(さ)すを惜まねど紫菫...
横瀬夜雨 「花守」
...悪童たちを蹴ちらし、郎党たちの刃(やいば)を轢(ひ)いて、暗い野末へ、団々たる火のかたまりを負って駛(か)けて行く...
吉川英治 「親鸞」
...野末のほうから風に乗って悟空(ごくう)のように素ッ飛んできた一粒の黒い人影があって...
吉川英治 「親鸞」
...駕の中から野末(のずえ)をすかしてみると...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...野末に茅(かや)の屋根を結んで果てるつもりじゃ……」「はて? 救ってやらなければならない人間とは」「まあいい...
吉川英治 「宮本武蔵」
...野末の果てから背のびをした密雲が...
吉川英治 「宮本武蔵」
...しばらく草枯れの野末を見まわしていた...
吉川英治 「宮本武蔵」
...恐れてゐた夕闇が野末に見え出した...
若山牧水 「木枯紀行」
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