...夕靄が烟(けぶ)るように野末にたち罩(こ)め...
モオパッサン 秋田滋訳 「親ごころ」
...赤い月は、野末に一つ、あるけれど、もと末も分らない、雲を落ちた水のような畝(うね)った道を、とぼついて、堪らなくなって――辻堂へ、路傍(みちばた)の芒(すすき)を分けても、手に露もかかりません...
泉鏡花 「開扉一妖帖」
...ピカリッ!一閃すると見る間に、向うの野末に、太い火柱が立った...
海野十三 「雷」
...お綾はその野末源之丞の許へ...
江見水蔭 「備前天一坊」
...野末の逍遙心足りて...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...まぼろし追うてくたびれてしばし野末の假のやど結ぶや君よ何の夢さむれば赤したなごゝろあたりの風を匂はして笑むはやさしの花ばらか...
土井晩翠 「天地有情」
...野末のここ彼処に...
徳田秋声 「あらくれ」
......
野口雨情 「未刊童謡」
...日頃はあてもなく異性を戀して春の野末を馳せめぐり...
萩原朔太郎 「青猫」
...野末の道をただ一人ゆく盲人の姿が...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...間に合せておくれかのう?」四野末の陽炎(かげろう)の中から...
横光利一 「蠅」
...こなたの野末からも新たな力のある鬨(とき)の声をあげながら...
吉川英治 「上杉謙信」
...遥か彼方の野末から...
吉川英治 「三国志」
...野末の夕霧を見まわした...
吉川英治 「三国志」
...百余人が八組に分れ、里、野末、山岳方面など――思い思いに捜索に向った...
吉川英治 「平の将門」
...野末のほうから、豆つぶ程な人馬の影が一群れ見えて来たでしょう...
吉川英治 「宮本武蔵」
...野末に茅(かや)の屋根を結んで果てるつもりじゃ……」「はて? 救ってやらなければならない人間とは」「まあいい...
吉川英治 「宮本武蔵」
...野末なる三島の町の揚花火月夜の空に散りて消ゆなりうるほふとおもへる衣(きぬ)の裾かけてほこりはあがる月夜の路に天の川さやけく澄みぬ小夜更けてさし昇る月の影は見えつつ路ばたの木槿(もくげ)は馬に喰はれけり (芭蕉)この句は私の大好きな句である...
若山牧水 「樹木とその葉」
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