...無数につるんでいる赤蜻蛉(あかとんぼ)を...
池谷信三郎 「橋」
...それについて、御縁女、相談に来(わ)せられたかな……糸七は蟇と踞み、南瓜の葉がくれ、尾花を透かして、蜻蛉の目で、覗きながら、咄嗟(とっさ)に心(むね)で思ううちに、框(かまち)の障子の、そこに立ったお京の、あでやかに何だか寂しい姿が、褄さきが冷いように、畳をしとしと運ぶのが見えて、縁の敷居際で、すんなりと撓(しな)うばかり、浮腰の膝をついた...
泉鏡花 「薄紅梅」
...逆蜻蛉を見たいとも思わなかった...
魯迅 井上紅梅訳 「村芝居」
...長篇小説の多くが尻切蜻蜒(しりきれとんぼ)である原因の過半はこれである...
内田魯庵 「八犬伝談余」
...蜻は相場師と同じやうに後方(うしろ)に目が無いので...
薄田泣菫 「茶話」
...蜻蛉(とんぼ)や鴉(からす)などと同じやうに...
薄田泣菫 「茶話」
...もう再び歸つて來無いものゝやうに羽の薄い蜻蛉が羽だけ光らしてとんで居た...
千家元麿 「自分は見た」
...輪廻(りんね)はめぐる小車(をぐるま)の蜻蛉(とんぼ)がへりの日(ひ)もくれて旅籠(やど)をとろにも銭(ぜに)はなしあひの土山(つちやま)あめがふる...
竹久夢二 「どんたく」
...あかい小さい蜻蛉(とんぼ)がたくさん集まって飛んでいる...
田山花袋 「田舎教師」
...これに反してマックの方は判定を聞くと同時にぽんと一つ蜻蛉返(とんぼがえ)りをして自分の隅へ帰ったようであった...
寺田寅彦 「映画雑感6[#「6」はローマ数字、1-13-26]」
...蜻(とんぼ)を捕えるのと同じ恰好の叉手形(さでがた)の網で...
寺田寅彦 「鴫突き」
...人生の朝(あした)の酔いである! 愛すべき青春の年である!蜻蛉(とんぼ)の翼は震える...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...無数の蜻蛉(とんぼ)が丁度フランスの夏の空に高く飛ぶ燕(つばめ)のように飛交(とびちが)っている...
永井荷風 「監獄署の裏」
...二尺もある大蜻蛉(ステーデクチヤ)や...
久生十蘭 「地底獣国」
...私がやつとあまたの王朝時代の日記の中からこれこそと思つて選んできた「蜻蛉日記(かげろふのにき)」といふ...
堀辰雄 「七つの手紙」
...子供が蜻蛉をとつて呉れとせがみますので...
牧野信一 「趣味に関して」
...「蝶々や蜻蛉(とんぼ)ならよござんすけれど...
水上滝太郎 「果樹」
...また体をかがめて蜻蛉の羽を両手にかいこむ愛らしいしぐさや...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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