...言ひ草が野卑になる事を恐れて之を思ひきらう――現にゐるかも知れない...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...いよいよ御来迎(ごらいごう)?」「来たね」というような野卑な言葉が...
有島武郎 「或る女」
...野卑な目付に憤怒の色を湛へて自分を凝視して居る...
石川啄木 「雲は天才である」
...そのくせに芝居がゝりな態度が野卑な調子を帯びた声と一しよに...
伊藤野枝 「ある女の裁判」
...第一言語からして野卑で...
内田魯庵 「最後の大杉」
...かくの如き者が何(なん)と口の先に礼を説こうとも、秩序を説こうとも、道徳を説こうとも、その野卑な言葉、その言葉の暗示の力というものは国民の思想を攪乱(かくらん)しないでは済まぬ...
大隈重信 「政治趣味の涵養」
...しばらくのあいだは南の丘辺はいかなる野卑なざれごとをもこだまさせない...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...平(ひら)の坑夫は無論そう野卑(ぞんざい)じゃあるまいと思い込んでいた...
夏目漱石 「坑夫」
...僕は今後の道徳は武士道にあらずして平民道にありと主張する所以は高尚なる士魂を捨てて野卑劣等なる町人百姓の心に堕ちよと絶叫するのではない...
新渡戸稲造 「平民道」
...野卑な弥次が飛んで...
火野葦平 「花と龍」
...さういふ悪い名前の糸は切らなければならないのだ……野卑な楽隊の音に連れて...
牧野信一 「或る日の運動」
...源十氏は屡々これらの野卑極まりもない風習に関して...
牧野信一 「月あかり」
...」などと此辺で用ひる野卑な冷笑の言葉をワザと叫んで...
牧野信一 「晩春の健康」
...意匠の野卑と相待て純然たる俗俳句となりをはれり...
正岡子規 「俳人蕪村」
...野卑な言葉を遣うはずがない...
三田村鳶魚 「中里介山の『大菩薩峠』」
...野卑で、聞いていられない...
三好十郎 「肌の匂い」
...見て感じの悪いような野卑な僧などがあとへあとへとこのごろはたくさん来るのである...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...一ノ二「莫迦ッ、そんな事が出来ねエのか、間抜けめ!」親方は、野卑な言葉で、そう呶鳴(どな)ると、手に持った革の鞭で、床をビシビシ撲りつけながら、黒吉(くろきち)を、グッと睨みつけるのだった...
蘭郁二郎 「夢鬼」
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