...言ひ草が野卑になる事を恐れて之を思ひきらう――現にゐるかも知れない...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...しばらくのあいだは南の丘辺はいかなる野卑なざれごとをもこだまさせない...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...中音(テノール)も野卑なら...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...多くのはなやかな野卑な楽しみを持っている...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...この、野卑で、下等で、且つ眼色毛色まで変っている毛唐めの口車に乗ったのは、いつか知らず自分が、この毛唐の持つ音楽的魅力に捉えられてしまっていたのだということを、まだ当人は気がついていないのです...
中里介山 「大菩薩峠」
...支那ノ……」この野卑にして下等なる音楽者は...
中里介山 「大菩薩峠」
...思ひがけない野卑な惡意...
中島敦 「かめれおん日記」
...その地の実際の風土・気候等を背景として考えてみるとけっして野卑でも不合理でもないことが...
中島敦 「李陵」
...じぶんの組に、石太郎のような、不潔(ふけつ)な、野卑(やひ)な、非文化的な、下劣(げれつ)なものがいるということを、都会ふうの、近代的な明るい藤井先生が、どうお考えになるかと思うと、まったく、いたたまらなかった...
新美南吉 「屁」
...下劣(げれつ)で野卑(やひ)な生徒たちに...
新美南吉 「屁」
...もつとざつくばらんで野卑な氣持ちがあつたから...
萩原朔太郎 「非論理的性格の悲哀」
...それが過ぎると、剛情で、野卑で、ひねくれて、陰険で、手に負えないようになってしまいました...
久生十蘭 「キャラコさん」
...野卑な弥次が飛んで...
火野葦平 「花と龍」
...見る者の眼にも野卑なる思ひを感ぜしめずに済むだらう――綺麗だ! と思つた...
牧野信一 「川蒸気は昔のまゝ」
...せめてウヰルソン教授の発音法を応用したならば、そんな失策もなかつたらうに、浮れたわたしの巻舌は、メリケン親爺の口真似になつて、聞くだに野卑で、滑稽なる亡霊の声に過ぎなかつた...
牧野信一 「幽霊の出る宮殿」
...此歌萬葉時代に流行せる一氣呵成(かせい)の調にて少しも野卑なる處は無く字句もしまり居り候へども全體の上より見れば上三句は贅物(ぜいぶつ)に屬し候...
正岡子規 「歌よみに與ふる書」
...この歌万葉時代に流行せる一気呵成(いっきかせい)の調にて少しも野卑(やひ)なるところはなく字句もしまり居り候えども...
正岡子規 「歌よみに与ふる書」
...風俗野卑なりなどと書く紀行家に言わせると...
柳田国男 「雪国の春」
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