...同時に又是等の人々の中に、貪慾なる、奸譎(かんけつ)なる、野卑なる、愚昧なる、放漫なる、が、常に同情を感ずる人間全体を見出したのであらう...
芥川龍之介 「大久保湖州」
...立派な少女が結婚関係に就て知るのは無作法で野卑だと云ふのだ...
エンマ・ゴルドマン 伊藤野枝訳 「結婚と恋愛」
...「惚れられる」というような野卑な言葉に依って生じるやにさがった雰囲気(ふんいき)に対して...
太宰治 「人間失格」
...その言葉使いの野卑で憎らしかったには...
寺田寅彦 「枯菊の影」
...それらの野卑な心理学者を...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...女工の根深い野卑な気質は間もなく露骨になってきた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...野卑でありながらまた同時に狡猾(こうかつ)で...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...足らぬ勝ちなる生活は次第に野卑となつて礼儀交際の美観を許さず...
永井荷風 「海洋の旅」
...与えないのみならず、あらゆる野卑と、悪戯(いたずら)と、不行作(ふぎょうさ)と、かけごと勝負と、だまし合いとを奨励して興がるかの如く見ゆる...
中里介山 「大菩薩峠」
...なにもかも忘れて、野卑で、下等で、醜悪な人間が奏(かな)でる、一種異様な異国情調の漂蕩(ひょうとう)に堪えられなくなってしまったと見えて、「マドロスさん、何という曲だかわたしは全くわからないが、聞いていると泣けてしまってよ、泣かずにはいられなくなってよ」と、その一曲が終った時、女は無性(むしょう)に涙を流しながら言いつづけました...
中里介山 「大菩薩峠」
...思ひがけない野卑な惡意...
中島敦 「かめれおん日記」
...窮迫した家庭に成長したからだと思はれるだけ野卑な処もあつた...
長塚節 「隣室の客」
...半滴(はんてき)の気韻(きいん)だに帯びざる野卑の言語を臚列(ろれつ)するとき...
夏目漱石 「虞美人草」
...平(ひら)の坑夫は無論そう野卑(ぞんざい)じゃあるまいと思い込んでいた...
夏目漱石 「坑夫」
...野卑の限りをつくしてゐた...
萩原朔太郎 「室生犀星に與ふ」
...見ゆる限りは桜なりけりなどいへるも極めて拙(つたな)く野卑(やひ)なり...
正岡子規 「歌よみに与ふる書」
...そして打水でぬれた石は野卑でなまなましく...
室生犀星 「庭をつくる人」
...一ノ二「莫迦ッ、そんな事が出来ねエのか、間抜けめ!」親方は、野卑な言葉で、そう呶鳴(どな)ると、手に持った革の鞭で、床をビシビシ撲りつけながら、黒吉(くろきち)を、グッと睨みつけるのだった...
蘭郁二郎 「夢鬼」
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