...そのくせに芝居がゝりな態度が野卑な調子を帯びた声と一しよに...
伊藤野枝 「ある女の裁判」
...かくの如き者が何(なん)と口の先に礼を説こうとも、秩序を説こうとも、道徳を説こうとも、その野卑な言葉、その言葉の暗示の力というものは国民の思想を攪乱(かくらん)しないでは済まぬ...
大隈重信 「政治趣味の涵養」
...しばらくのあいだは南の丘辺はいかなる野卑なざれごとをもこだまさせない...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...既に少し荒(すさ)んだ野卑な人物と見なされたものである...
太宰治 「酒の追憶」
...その言葉使いの野卑で憎らしかったには...
寺田寅彦 「枯菊の影」
...言葉が野卑に過ぐる...
中里介山 「大菩薩峠」
...試験及第が第一になっている故精神が大変に野卑になって来る...
新渡戸稲造 「今世風の教育」
...野卑な厭味とキザとで芬々たる臭氣を放つてゐた...
萩原朔太郎 「室生犀星に與ふ」
...此歌萬葉時代に流行せる一氣呵成(かせい)の調にて少しも野卑なる處は無く字句もしまり居り候へども全體の上より見れば上三句は贅物(ぜいぶつ)に屬し候...
正岡子規 「歌よみに與ふる書」
...見ゆる限りは櫻なりけりなどいへるも極めて拙(つたな)く野卑なり...
正岡子規 「歌よみに與ふる書」
...しかれども野卑に陥りやすきをもって野卑ならざるものをも棄(す)つるはその弁別の明なきがゆえなり...
正岡子規 「俳人蕪村」
...しかれども野卑に陥りやすきを以て野卑ならざる者をも棄つるはその弁別の明なきが故なり...
正岡子規 「俳人蕪村」
...むしろ一層野卑にして一層無味なる俳諧を為したるのみ...
正岡子規 「古池の句の弁」
...野卑な言葉を遣うはずがない...
三田村鳶魚 「中里介山の『大菩薩峠』」
...少しでも野卑な詞...
森鴎外 「ヰタ・セクスアリス」
...彼が理性の力によって彼の中にある野卑劣等な性質を脱却し...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...風俗野卑なりなどと書く紀行家に言わせると...
柳田国男 「雪国の春」
...野卑なことばで急(せ)きたてた...
吉川英治 「三国志」
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