...併し自己と他人との矮小と野卑とに堪へざる點に於いては著者の意志も品性も文章もノーブルである...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...この霊性の貧弱と野卑とが結婚制度に固有な要素である...
エンマ・ゴルドマン 伊藤野枝訳 「結婚と恋愛」
...彼をその野卑な周囲からさえぎってしまった...
スティーヴンスン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」
...既に少し荒(すさ)んだ野卑な人物と見なされたものである...
太宰治 「酒の追憶」
...野卑でありながらまた同時に狡猾(こうかつ)で...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...足らぬ勝ちなる生活は次第に野卑となつて礼儀交際の美観を許さず...
永井荷風 「海洋の旅」
...こゝに居住する市民の年々野卑暴戻となるは當然の事であらう...
永井荷風 「十年振」
...思ひがけない野卑な惡意...
中島敦 「かめれおん日記」
...それは窮乏な家庭に成長した丈に野卑なさもしい処もありはあつたが...
長塚節 「隣室の客」
...無駄を誇りとするかのやうな野卑なる...
牧野信一 「小川の流れ」
...好みが野卑! だとかなどゝ正面から反撥した自分こそ...
牧野信一 「小川の流れ」
...見る者の眼にも野卑なる思ひを感ぜしめずに済むだらう――綺麗だ! と思つた...
牧野信一 「川蒸気は昔のまゝ」
...少しも野卑なる処はなく...
正岡子規 「歌よみに与ふる書」
...「見ゆる限りは桜なりけり」などいえるも極めて拙(つたな)く野卑(やひ)なり...
正岡子規 「歌よみに与ふる書」
...あたかも東洋の美術に心酔する者が西洋の美術をもってことごとく野卑なりとして貶(へん)するがごとし...
正岡子規 「俳人蕪村」
...(各種を同時に用ゐたるもあり)その浅薄にして野卑なる...
正岡子規 「古池の句の弁」
...「しかし此女にも女がもつ共通の野卑と淫逸とが濳んでゐるかもしれない...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
...彼が理性の力によって彼の中にある野卑劣等な性質を脱却し...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
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