...言ひ草が野卑になる事を恐れて之を思ひきらう――現にゐるかも知れない...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...併し自己と他人との矮小と野卑とに堪へざる點に於いては著者の意志も品性も文章もノーブルである...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...▲自働車の上なら悠然と沈着て読書は本より禅の工風でも岡田式の精神修養でも何でも出来そうだが、電車は人間を怯懦にし、煩瑣にし、野卑にし、放肆(ほうし)にする...
内田魯庵 「駆逐されんとする文人」
...彼をその野卑な周囲からさえぎってしまった...
スティーヴンスン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」
...彼女は樸実だが野卑ではない...
種田山頭火 「其中日記」
...野卑ではあるが、どこか大量なところがあって、相当に人を籠絡(ろうらく)する魅力愛嬌もないではない...
中里介山 「大菩薩峠」
...支那ノ……」この野卑にして下等なる音楽者は...
中里介山 「大菩薩峠」
...半滴(はんてき)の気韻(きいん)だに帯びざる野卑の言語を臚列(ろれつ)するとき...
夏目漱石 「虞美人草」
...野卑な弥次が飛んで...
火野葦平 「花と龍」
...見る者の眼にも野卑なる思ひを感ぜしめずに済むだらう――綺麗だ! と思つた...
牧野信一 「川蒸気は昔のまゝ」
...源十氏は屡々これらの野卑極まりもない風習に関して...
牧野信一 「月あかり」
...見ゆる限りは櫻なりけりなどいへるも極めて拙(つたな)く野卑なり...
正岡子規 「歌よみに與ふる書」
...「見ゆる限りは桜なりけり」などいえるも極めて拙(つたな)く野卑(やひ)なり...
正岡子規 「歌よみに与ふる書」
...しかれども野卑に陥りやすきをもって野卑ならざるものをも棄(す)つるはその弁別の明なきがゆえなり...
正岡子規 「俳人蕪村」
...意匠の野卑と相待って純然たる俗俳句となり了(おわ)れり...
正岡子規 「俳人蕪村」
...野卑だが劣等でないというような表現もあり得るものなのですね...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...野卑であっても気持のきれいな男が...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...少しでも野卑な詞...
森鴎外 「ヰタ・セクスアリス」
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