...その言葉には不思議に重々しい力がこもっていて...
有島武郎 「或る女」
...重々しい力の無い声に出来るだけ抑揚をつけて諄々(くどくど)と説いたものだ...
石川啄木 「赤痢」
...戸前にはいつも開かずの部屋の様に重々しい錠前(じょうまえ)が掛っていたのだから...
江戸川乱歩 「悪霊」
...奈良朝(ならちょう)以後シナの鞏固(きょうこ)な重々しい木造建築を採用するに及んで実際移動不可能になったように...
岡倉覚三 村岡博訳 「茶の本」
...重々しい声で言った「まだ――とめ――るな...
C. スミス C. Smith The Creative CAT 訳 「いえ、いえ、ラゴーフにはもう!」
...それは乾燥したさわやかな暑さとちがって水蒸気で飽和された重々しい暑さであった...
寺田寅彦 「夏」
...フォンテーヌブローの敷石道に響く車輪や馬足の重々しい音...
ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 「死刑囚最後の日」
...重々しい半濁の忙しい一団の水量の中に...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...」重々しい声が言った...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...重々しい声がおさえつけるように...
葉山嘉樹 「海に生くる人々」
...何か私に重々しい印象を与えていたことは既に述べた...
原民喜 「翳」
...ふざけてそんな時の癖で何かの声色でも真似るらしく重々しい調子で...
牧野信一 「秋晴れの日」
...俳句でいふて見ても昔から京都の方が美しい重々しい方に傾いて...
正岡子規 「病牀六尺」
...支那(しな)の東京錦(とんきんにしき)の重々しい縁(ふち)を取った褥(しとね)の上には...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...私のように長く心の病気をおさえている人はないでしょう」大将はこの言葉のとおりにもう軽々しい多情多感な青年ではない重々しい風采(ふうさい)を備えているのであるから...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...重々しい高官の御随行のわずかなままでお出かけになったことがお耳にはいって...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...扉がひとりでに閉まって来て重々しい陰鬱な反響を部屋の内外に轟かした...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...すなわち現実に何万人を並べた感じは、見物に客観的な事実感を与えるだけの力しかないが、それが舞い手……殊に仮面の舞台効果(面(おもて)のこうした不可思議な且つ偉大な表現力がどこから生れて来るか……という事は後に述べる)によって描きあらわされると、それだけの人間が居る気分、もしくは情緒だけが観客に受け取られるばかりで、そんな夥しい実在物の息苦しい、重々しい、且つ間の抜けた感じは絶対に受けない事になるのである...
夢野久作 「能とは何か」
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