...往くあり、還るあり...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...真理を把(つか)み得て還るその姿...
高神覚昇 「般若心経講義」
...法則は普遍者に到着することが目的ではなくして個々の現象に還ること――それこそ学問的実践である――を目的とするものであることを特に吾々は注意しなければならない...
戸坂潤 「科学方法論」
...いづれも三日打捨てて置けば必ず向より詫を入れて還ること...
永井荷風 「桑中喜語」
...還るところを失つた人間だ...
原民喜 「鎮魂歌」
...還るところを失った人間に救いはない...
原民喜 「鎮魂歌」
...だがもう還るすべもない影の狼煙ではないか...
逸見猶吉 「逸見猶吉詩集」
...客観の抵抗によって自己自身に還るのである...
三木清 「哲学入門」
...そしてその辯證法が自覺のモデルに從つて自己より出て自己に還るところの或ひは即自に於ける直接性の對自を媒介として即自對自に於ける絶對的なる直接性に到るところの完結的なる過程であつたといふこと...
三木清 「唯物史観と現代の意識」
...これを持つ者百事望みのままに叶いこれを失いまた窃(ぬす)まるるも角自ずと還る...
南方熊楠 「十二支考」
...「生きて還るかどうか知れないから...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...これも還ることを得た...
森鴎外 「津下四郎左衛門」
...是より先き慶喜大阪より江戸に還る...
森鴎外 「能久親王年譜」
...禅師が支那から帰朝された最初の説法に「空手にして郷に還る」といわれたという...
柳宗悦 「改めて民藝について」
...父の病少しく愈(い)ゆるを以て京に還る...
山路愛山 「頼襄を論ず」
...うしろへ引いてもとの直立不動の姿勢に還る……という極めて簡単な舞の手があるとする...
夢野久作 「能とは何か」
...「しかし儂(み)が還るまいとしても...
吉川英治 「私本太平記」
...母、東西の隣里(りんり)に傭(やと)われ或は水汲み、或は火焼(た)き或は碓(うすつ)き、或は磨(うす)ひく家に還るの時未だ至らざるにわが児家に啼き哭(こく)して我を恋い慕わんと思い起せば胸さわぎ心愕(おどろ)き乳ながれ出でて堪(た)うる能(あた)わず乃(すなわ)ち、走り家に還る児、遥かに母の来るを見脳(なずき)を弄(ろう)し、頭(かしら)をうごかし嗚咽(そらなき)して母に向う母は身を曲げて、両手を舒(の)べわが口を子の口に吻(つ)く両情一致、恩愛の洽(あまね)きこと復(ま)たこれに過ぐるものなし――二歳、懐(ふところ)を離れて始めて行く父に非ざれば火の身を焼く事を知らず母に非ざれば刀(はもの)の指を堕(おと)すを知らず三歳、乳を離れて始めて食らう父に非ざれば、毒の命を落すを知らず母に非ざれば薬の病(やまい)を救うを知らず父母、外(そと)の座席に往(ゆ)き美味珍羞(ちんしゅう)を得るあればみずから喫(くら)わず懐(ふところ)に収め喚(よ)びて子に与え、子の喜びを歓ぶ「やい...
吉川英治 「宮本武蔵」
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