...閣下から信頼を受けてあの重大任務をおうちあけ願っていなかったら、わが国史上に、一大汚点を印するところでありました」「それは、よかった――」司令官は、沈痛な面持をして、遥かな地点に、陳謝と祈りを、捧げるもののようであった...
海野十三 「空襲葬送曲」
...青畳(あおだたみ)を敷いたような遥かな下界の美しさに酔っている間もなく...
海野十三 「地球盗難」
...どんな遥かな隔りがあろうと...
大島亮吉 「涸沢の岩小屋のある夜のこと」
...この装置は今や遥かな距離を超えて精神を受信することができる...
C. スミス C. Smith The Creative CAT 訳 「いえ、いえ、ラゴーフにはもう!」
...暗黒なる洞の遥かなる奥に...
高木敏雄 「比較神話学」
...大理石に似て、もっと石膚が艶(つや)やかに、もっと純白雪のように磨き上げられた円柱が並列して、円形の屋根を支え、円柱の台石に飾り付けられた裸体女神の立像や、座像や、そして屋根と柱との壁間に刻まれた白鳩とアカンザス模様の見事さ! しかもこの殿堂は、見る眼遥かな七、八十歩の大階段の上にそそり立ち、その階段から我々の佇んでいる道のべまで一面に広い乳白の甃(いしだたみ)が敷き詰められて、中空に参差(しんし)し交錯した橄欖樹が、折からの翳(かげ)った陽の光を受けて、仄(ほの)かに影を甃の上に落している平和さ、荘厳さ!恍惚(うっとり)と見惚れながらも、これから我々の訪れようとしている未知の都会に住む住民のいかなる人たちなるかに、今一度首を傾(かし)げずにはいられなかったのであった...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...それならばこそ私は、この手紙の冒頭において、「遥かなる国、不思議なる国、ほんとうに夢のように不思議なる国」と、驚嘆の形容詞ばかりを重ねて申し上げたわけなのです...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...彼等の未来は遥かなのであろう...
外村繁 「夢幻泡影」
...遥かなる空や青ずんだ森を嘆賞してゐるのではなかつた...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...何処か遥かなところを...
堀辰雄 「大和路・信濃路」
...――ずつと遥かな雲のむかふに霞んでゐる山脈の肌には...
牧野信一 「タンタレスの春」
...その姿は私などの言葉は断乎として届かぬ遥かなるものゝまぼろしとうかがへるのみだつた...
牧野信一 「天狗洞食客記」
...遥かなる山を望むごときは...
森鴎外 「舞姫」
...中でも海のあなたの遥かなる楽土から...
柳田国男 「海上の道」
...後に転じて遥かなる海の彼方(かなた)の意に...
柳田国男 「海上の道」
...阿波へ! 阿波へ! 遥かな空へ...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...背景を成す沸き立つような半ば光輝を帯びた雲は、曖昧で希薄な、地球を遥かに離れた<彼方であること>(*14)を暗示する言語に絶した何かを抱き、遥かな距離を、全き孤絶を、侘しい荒廃を、足を踏み入れることも測鉛を投ずることも叶わぬこの南の世界の悠遠の死を、ぞっとする程に思い起こさせた...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
...飛騨焼岳の頂上に立って足許に湧き昇る噴煙に心をとられながらも端なく遥かな雲の波の上に抜き出でている富士を見出でて拝み度い思いに撲たれたこともあった...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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