...ヤレヤレ、これで安心でした」と一同がかわるがわるの礼言葉に、医師はくれぐれも産後の注意を与えたるが、まずなにはなくとも一口とて別間に招じ、酒よ肴(さかな)と善美を尽くした饗応(きょうおう)の数々、座に連なる人々は鄙(ひな)にはまれなる気高き男女、往診料とて紙に包みし謝礼を納めて帰りしは、遠寺の鐘の音、余韻を引いてさびしく響く一時ごろであった...
井上円了 「おばけの正体」
...遠寺の鐘さえ鳴り出した...
江見水蔭 「死剣と生縄」
...その洞にある醍醐寺からは遠寺(とおでら)の晩鐘がきこえて参ります...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...はや遠寺(とおでら)のかねがひゞいてまいりお庭の方にほとゝぎすのなくねがきこえましたので...
谷崎潤一郎 「盲目物語」
...――外には」「小石川の正遠寺(しやうをんじ)の山門の修覆に百兩の金を寄附した人があります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...正遠寺の住職は言ふのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...小石川の正遠寺に行つたのは...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...平久や小石川の正遠寺その他の被害を...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...新高野山大安楽寺(こうぼうさま)と身延山久遠寺(にちれんさま)と...
長谷川時雨 「牢屋の原」
...浅草どぶ店(だな)の長遠寺(ちょうえんじ)の御影供日(おめいくび)なので...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...遠寺に打ちたる入相(いりあい)の鐘の音(ね)も今は絶えて久しくなりぬ...
宮崎湖処子 「空屋」
...ボーン悩と鳴る遠寺の鐘...
山田美妙 「武蔵野」
...遠寺晩鐘の間などと呼ぶにふさわしい彩管(さいかん)を揮(ふる)っている...
吉川英治 「黒田如水」
...金碧(きんぺき)や丹青(たんせい)の燦(かがや)くうちにただ一つある墨絵の一室――狩野永徳(かのうえいとく)が画くところという遠寺晩鐘図(えんじばんしょうず)の襖(ふすま)をめぐらした部屋の上段から大きく聞えた...
吉川英治 「新書太閤記」
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