...御辞退申しましては反(かえ)って御意(ぎょい)に逆(さから)う道理でございますから...
芥川龍之介 「竜」
...ところで、まん直しの仕事でもしたいものだと、柳橋辺を、晩(おそ)くなってから胡乱(うろ)ついていると、うっかり出合ったのが、先刻(さっき)、紙入れを辷(すべ)らかした男だから、金子(かね)はどうなったろうと思って、捕まったらそれ迄だ、と悪度胸で当って見ると、道理で袖が重い、と云って、はじめて、気が着いて、袂(たもと)を探してその紙入を出してくれて、しかし、一旦こっちの手へ渡ったもんだから、よく攫徒仲間が遣ると云う、小包みにでもして、その筋へ出さなくっちゃ不可(いか)んぞ、と念を入れて渡してくれた...
泉鏡花 「婦系図」
...道理で、美しいと思ひました...
田山録弥 「島の唄」
...君ブローアムは知っているだろう」「ブローアム? ブローアムたなんだい」「英国の文学者さ」「道理で知らんと思った...
夏目漱石 「琴のそら音」
...その他を圧迫するは見やすき道理である...
夏目漱石 「文芸委員は何をするか」
...女だつて男だつて何時までも獨りでゐるのは良くねえ」「道理であつしも時々裸になりたくなりますよ」「裸になつて質屋に飛び込む口だらう...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...同藩士族の眼から見れば不親切な薄情な奴と見えるも道理で...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...「なアんだ! 道理で……」「もう一遍投げて見るぜ...
牧野信一 「環魚洞風景」
...結果としての無辺なる大呼吸へ達すべきが道理であるだけだ...
牧野信一 「浪曼的時評」
...道理である、まれな美貌(びぼう)の人であるから、俗の姿でこの世にいては煩累となることが多いに違いないと阿闍梨らも思った...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...訪問記者だつて殆ど同じ道理であらう...
森林太郎 「長谷川辰之助」
...しかし道理であった...
山之口貘 「ダルマ船日記」
...思ったのも道理で...
吉川英治 「剣難女難」
...武名を鳴らした無名の義軍を率いていた人か」「そうです」「道理で――どこかで見たことがあるような気がしていたが...
吉川英治 「三国志」
...道理ではある」奉行は...
吉川英治 「新・水滸伝」
...人の影もございませんよ」「なるほど――」いわれてみれば道理であった...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...――道理で、きょう十人ばかりの人足が、裏山の雑木林で、昼間から車座になって、酒をのみながら博奕(ばくち)などしておった...
吉川英治 「宮本武蔵」
...人品のどこかに、下賤(げせん)でないものが、仄見(ほのみ)えるのは、道理であった...
吉川英治 「宮本武蔵」
便利!手書き漢字入力検索