...一々応接する遑(いとま)あらざる面倒臭さに...
内田魯庵 「露伴の出世咄」
...此の如きの例は数うるに遑あらざる可し...
高木敏雄 「比較神話学」
...現在の事態のみを見てその歴史的由来などを考える遑(いとま)がないためにその事態の真相を解しなかったり...
津田左右吉 「日本に於ける支那学の使命」
...――史的唯物論の典拠は枚挙に遑ない...
戸坂潤 「科学論」
...維新当時は国事多端にして政府はなほ市井の風俗を顧(かえりみ)る遑(いとま)なかりしかば画工は憚(はばか)る処なく女湯の内部または『田舎源氏』の遊戯に見立てて御殿女中の裸体雪合戦を描く事を得たり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...もはや辻番の咎(とが)めを顧慮している遑(いとま)がありません...
中里介山 「大菩薩峠」
...もはや当路者を顧(かえり)みるの遑(いとま)なし...
福田英子 「妾の半生涯」
...しかも前者後者没交渉なる事例は枚挙するに遑(いとま)ないのである...
穂積陳重 「法窓夜話」
...其他枚挙にも遑もない計画が持ち込まれてゐるので...
牧野信一 「熱海線私語」
...十三日の朝引越しさわぎの間で遑(あわただ)しく立ちよみして来た二つの手紙をよみなおし...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...一声の叫びをする遑(いとま)もなく...
アルベエル・サマン Albert Samain 森林太郎訳 「クサンチス」
...清掃される遑もない時代にあるが...
吉川英治 「折々の記」
...――秀吉は新城にくつろく遑(いとま)もなく...
吉川英治 「黒田如水」
...細かい政綱(せいこう)などは立てている遑(いとま)もない...
吉川英治 「新書太閤記」
...鎧通(よろいどお)しの柄(つか)に手をかける遑(いとま)がない...
吉川英治 「新書太閤記」
...その力を集結させる遑(いとま)のないように闘っていることがわかる...
吉川英治 「宮本武蔵」
...もうその矛盾(むじゅん)を自分に問うている遑(いとま)もなく...
吉川英治 「宮本武蔵」
...思慮の遑(いとま)もない...
吉川英治 「宮本武蔵」
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