...自分は日々朝鞋をはいて立ち夜まで脱ぐ遑がない...
伊藤左千夫 「水害雜録」
...出奔(しゅっぽん)した奴のことを考えている遑(いとま)がないのでネ...
海野十三 「三人の双生児」
...七郎は看病をしなくてはならないので仕事にいく遑(ひま)がなかった...
蒲松齢 田中貢太郎訳 「田七郎」
...また論及の遑もないが...
豊島与志雄 「現代小説展望」
...近き頃森田草平(もりたそうへい)が『煤煙(ばいえん)』小粟風葉(おぐりふうよう)が『耽溺(たんでき)』なぞ殊の外世に迎へられしよりこの体(てい)を取れる名篇佳什(かじゅう)漸く数ふるに遑(いとま)なからんとす...
永井荷風 「矢はずぐさ」
...おそらく血は刀に附く遑(いとま)がなかったろう――切ると一緒に高いところから足で蹴落(けおと)して(その証拠には...
中里介山 「大菩薩峠」
...口を利く遑(ひま)なんかありやしません」「――」「相模屋に着くと大變だ『俺が居さへすればこんな慘(むご)い目に逢はせなかつた』と...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...彼にはそんな呑気な――今の彼として実際それが呑気な事であつた――計画を考へてる遑がなかつた...
平出修 「逆徒」
...豈(あに)国を思うに遑(いとま)あらんや...
福沢諭吉 「学問のすすめ」
...子弟の教育を顧(かえりみ)るに遑(いとま)あらず...
福沢諭吉 「旧藩情」
...筆にも記(しる)しがたき語風の異同は枚挙(まいきょ)に遑(いとま)あらず...
福沢諭吉 「旧藩情」
...何ぞ他を顧みて之が謀を爲すに遑あらんや...
福沢諭吉 「帝室論」
...かの公務に遑なき相澤を見ざりしかば...
森鴎外 「舞姫」
...岬と灣とは送迎に遑がない位で...
柳田國男 「潟に關する聯想」
...怪しんでいる遑(いとま)もない空気だった...
吉川英治 「上杉謙信」
...朝陽(あさひ)を仰ぐ遑(いとま)もなく...
吉川英治 「新書太閤記」
...いまはそれをいっている遑(いとま)はない...
吉川英治 「新書太閤記」
...江戸に報じる遑(いとま)もなく...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
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