...この詳細もここにくだくだしく描写している遑(いとま)はない...
海野十三 「鞄らしくない鞄」
...一々數ふるに遑あらず...
大町桂月 「冬の榛名山」
...恥をも名をも思ふ遑(いとま)なく...
高山樗牛 「瀧口入道」
...寝入ったように見えた師匠はまんじりともせずに聴いていてくれたのであるおよそかくのごとき逸話(いつわ)は枚挙に遑(いとま)なくあえて浄瑠璃の太夫や人形使いに限ったことではない生田(いくた)流の琴や三味線の伝授においても同様であったそれにこの方の師匠は大概(たいがい)盲人の検校であったから不具者の常として片意地な人が多く勢い苛酷(かこく)に走った傾(かたむ)きがないでもあるまい...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...プラトンは応接に遑(いとま)あらずと云ふ工合である...
オイゲン・チリコフ Evgenii Nikolaevich Chirikov 森林太郎訳 「板ばさみ」
...お小夜はありゃ人間じゃねえ」ガラッ八は息を継ぐ遑(いとま)もなく...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...その欠点を計(かぞ)うれば枚挙に遑(いとま)あらず...
福沢諭吉 「学問のすすめ」
...また文事をかえりみるに遑(いとま)あらず...
福沢諭吉 「中元祝酒の記」
...戸外兵馬の事に忙(せ)わしくして内を修むるに遑(いとま)なく...
福沢諭吉 「日本男子論」
...他に護送避難の遑(いとま)がない時は...
穂積陳重 「法窓夜話」
...枚挙に遑ないほどの――...
牧野信一 「「学生警鐘」と風」
...遑(あわ)てて駈け出したり...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...家も邸(やしき)も手広くして人出入さえ多き中に去年当家の若旦那が大学校を卒業されて文学士というエライお方になられたげなと評判隣村にまで広がりしより取分け人の訪(と)い来(く)る事多く主人夫婦は応接に遑(いとま)あらず「イヤこれは八兵衛(べえ)さんよくおいでだね」八兵衛「ヒエー...
村井弦斎 「食道楽」
...多くこれに及ぶに遑あらざりしを...
森鴎外 「柵草紙の山房論文」
...旨(むね)を承(う)くるに遑(いとま)あらず...
森鴎外 「渋江抽斎」
...前後を顧みる遑(いとま)なく...
森鴎外 「舞姫」
...謹直にして、行を愼み言を愼み、邪徑に由らず、公正の事に非ざれば感激發憤せず、宜しく其れ善報あるべくして、而も却つて禍災に遇ひし者、亦、枚擧に遑あらず...
箭内亙訳註 「國譯史記列傳」
...山中四十八渓、険千仭、奇巌層層、直達山頂、疎松参差点綴其間、又雑以奈樹柞樹、奇勝万千、不遑応接...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
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