...過ぐる二日の間暇にまかせて思い続けた自分の過去を夢のように繰り返していた...
有島武郎 「或る女」
...さらに今中尉を奪われしことは我らにとって寂寥(せきりょう)これに過ぐるものはありません...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...道傍過ぐる者行人に問えば...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...その提灯の通り過ぐるのを待っていました...
中里介山 「大菩薩峠」
...駒井甚三郎が金椎(キンツイ)を手許に置くようになった因縁をいえば、過ぐる月、駒井はひとりで鳥銃を荷(にな)って、房州の山々をめぐり、はしなく清澄の裏山へ出て、そこで一羽の雉(きじ)を撃ちとめたところから、寺の坊主の怒りを買い、烈しく責められてもてあましているところへ、山下(さんか)の鴨川出身の大六の主人が参詣に来合わせて、駒井のために謝罪してことなくすんで後、駒井は大六の持船天神丸に同乗して、小湊(こみなと)からこちらへ送り届けられたことがあります...
中里介山 「大菩薩峠」
...この尼さんの一行の過ぐるところ...
中里介山 「大菩薩峠」
...人立(ひとだち)おびただしき夫婦(めをと)あらそひの軒先(のきさき)などを過ぐるとも...
樋口一葉 「にごりえ」
...他の一方の高きに過ぐるものを低くせんとするの手段に力を尽さざりしものの如し...
福沢諭吉 「日本男子論」
...時世の変転余りにも激甚過ぐるを...
正岡容 「大正東京錦絵」
...昭和廿三年 八月 十一年目に復活の川開きを過ぐる四日葛飾真間夏桜軒にて著者...
正岡容 「「東京恋慕帖」自序」
...猪過ぐるを得て虎を顧みて曰く...
南方熊楠 「十二支考」
...こはドロミット洞窟のけ寒く硬き床なるを幾箇の環を嵌められし巨人の白き隻脚ぞかくて十二の十年は事なきさまに燃え過ぐる...
宮沢賢治 「〔こはドロミット洞窟の〕」
...お身の里の蝙蝠(こうもり)はわが面(おもて)をかすめてささやいて過ぐるであろう...
室生犀星 「花桐」
...わが前をとほり過ぐるやうにして...
森鴎外 「文づかひ」
...過ぐる日の颱風が...
吉川英治 「私本太平記」
...年三十を過ぐるや...
吉川英治 「新書太閤記」
...火へとびこめば夏の虫だった」一場の笑いばなしと過ぐる中に...
吉川英治 「源頼朝」
...帛(きぬ)を裂くと言つては鋭きに過ぐる...
若山牧水 「梅雨紀行」
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