...軍将は難を遁れて勝を求め死を去つて恥を決す...
芥川龍之介 「木曾義仲論(東京府立第三中学校学友会誌)」
...自分は山に遁れても完全に社會を脱却することが出來ない...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...モスコーの一敗辛くも巴里(パリ)に遁れ帰りたる大奈翁(だいなをう)に対し...
石川啄木 「渋民村より」
...貧ちょう無限無終の苦痛より遁れんがためには自殺はただ一の方法ならずや...
内村鑑三 「基督信徒のなぐさめ」
...争か嬰害積殃の両篇を遁れ給はんか...
太宰治 「右大臣実朝」
...はい、これは楠の一門の、篠崎六郎左衛門の子供でございますが、父になります者は、わらわが三歳の時、楠殿と仲違いをしまして、世を遁れて、今に行くえが知れないのでございます、此の程はお母さま一人に添いながら、浮世を明かし暮らしておりましたのに、有為無常のならいの悲しさは、そのお母さまにさえ先立たれて、今日で最早や三日になります、お骨を拾う人もございませんものですから、弟と二人で拾いまして、此の箱の中に入れましたけれど、何処へお納めしてよいのやら分りませんから、上人にお願い申そうために此れまで持って参りました、どうぞいかなる所へでもお納めなされて、お母さまが早く浄土へ行かれますように回向をなされて下さいましたら、ひとえに御利益に存じます、と、そう述べる言葉を黙って聞いていらしって、暫く上人は物も仰せられずに、限りなく御落涙なされるので、聴聞の人までが、遠くにいる者も近くにいる者も、一度に袖を濡らすのでした...
谷崎潤一郎 「三人法師」
...時には何うかしてさうしたうるさい圧迫から遁れたいと思ふものである...
田山録弥 「静かな日」
...まるでわたしを遁れてどこかへ逃げだそうとでもするように...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...」彼女は無理に身を遁れようとした...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...重苦しい圧迫の下から遁れ出ようとするような反抗の光りがあった...
豊島与志雄 「運命のままに」
...警察の手を遁れようと必死になつて...
南部修太郎 「死の接吻」
...女は私の視線を遁れるやうに顏を反けて...
南部修太郎 「ハルピンの一夜」
...急に米国行を思立ったのはルグナンシェから遁れる為であった...
松本泰 「日蔭の街」
...この忌わしい事件の渦中から遁れたい願いをもっていた...
室生犀星 「或る少女の死まで」
...身をもって黄河を遁れ渡った時は――その一舟中に生き残っていた者...
吉川英治 「三国志」
...改元一幾度か、虎口を遁れ、百難をこえて、帝は、ようやく洛陽の旧都へ還られた...
吉川英治 「三国志」
...とっさに遁れ出る思案もなく」「おう...
吉川英治 「私本太平記」
...他国の領地へ遁れてしまった場合も...
吉川英治 「梅里先生行状記」
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