...手を振つて之を斥けるよりも先づ眼を背けて其醜より遁れむとする...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...自分は山に遁れても完全に社會を脱却することが出來ない...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...いとも危うく身を遁れて...
泉鏡花 「活人形」
...或はさきに郷党を遁れた古河派が策動し中傷した結果でもあったのか...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...こうして人間のおせっかいから遁れて...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...死すべき命を卑怯にも遁れ給ひしと世の口々に嘲られて...
高山樗牛 「瀧口入道」
...戦場を遁れて逐電すと云々...
太宰治 「右大臣実朝」
...ただこの鎌倉の土地から遁れてみたいといふところにあるのだ...
太宰治 「右大臣実朝」
...Huys Mans はカソリツクに遁れた...
田山録弥 「J. K. Huys Mans の小説」
...プーリダマスは身をかはし遁れぬ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...難を遁れ得ることは極めて少い...
豊島与志雄 「生活について」
...警察の手を遁れようと必死になつて...
南部修太郎 「死の接吻」
...何故か私の視線を遁れるやうに...
南部修太郎 「ハルピンの一夜」
...急に米国行を思立ったのはルグナンシェから遁れる為であった...
松本泰 「日蔭の街」
...多くの捕り方に取り囲まれしを、巧みに遁れ、拙者、眼前に現れましたで、引っ捕えて突きだそうと、存じましたなれど、聞けばこの者、当時、大江戸に名高い、例の怪賊、闇太郎に紛(まぎ)れなき由、承わって、御隠居さまへ、御土産(おみやげ)として召し連れました次第でござりまする」「何に? 闇太郎――?」と赭ら顔の老人の唇から、その刹那、流石(さすが)に、愕きの叫びが洩れた...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...まだ己は圏(わ)の外(そと)へ遁れずにいるが...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...その隙にまたここを遁れ出でて大きなる沼の岸に出でたり...
柳田国男 「遠野物語」
...その戈や槍から遁れることはできなかった...
吉川英治 「三国志」
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