...保吉は咄嗟に女の目の逡巡する容子(ようす)を想像した...
芥川龍之介 「あばばばば」
...今や與へるに逡巡する心となつて私に隱遁の誘惑を投げてゐるやうである...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...自分は屡動きながら逡巡する...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...僕はもう逡巡するところなく...
海野十三 「深夜の市長」
...……早くこっちへ入れ」僕は逡巡することなく...
海野十三 「深夜の市長」
...その声はなほ名残を惜んでそこらに逡巡する夜を蹴散らして...
薄田泣菫 「独楽園」
...苦言を呈せんとして逡巡するもの三たび...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...逡巡するとは大不忠...
太宰治 「右大臣実朝」
...安重根は細目に正面下手の扉をあけて廊下の様子を窺ったのち、卓子へ帰り、焦慮に駆られる態にて行李を開けようとし、逡巡する...
林不忘 「安重根」
...川泳ぎして居た悪太郎が其時は一丈もあろうと思うた程の大きな青大将の死んだのを路の中央に横たえて恐れて逡巡する彼を川の中から手を拍(う)って笑った...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...これは住所氏名を問われて何か逡巡するところがあった為...
橋本五郎 「撞球室の七人」
...(はっとして逡巡する)おなか え...
長谷川伸 「中山七里 二幕五場」
...鷲が二羽 降りようとして舞つてゐる巖のあらはな巓を 私は仰ぎ 私はたちどまるその山の肩のあたり 林の盡きた笹原に 私は籠手を翳し私は逡巡する さてまづ晝餉をしたためる...
三好達治 「鷲」
......
山之口貘 「山之口貘詩集」
...事がきまればいささかも逡巡するところはない...
山本周五郎 「死處」
...そんな危険を逡巡することなくする立派な緊張があって...
横光利一 「夜の靴」
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