...彼一度逝く、入道相国は恰も放たれたる虎の如し...
芥川龍之介 「木曾義仲論(東京府立第三中学校学友会誌)」
...青春が逝くと云ふ感じが身慄ひのやうに彼を通つて過ぎた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...ほんとはマスネエの逝く春を惜しむ悲歌(エレジイ)を弾いたんだったけど...
池谷信三郎 「橋」
...第二回昨晩は後世へわれわれが遺して逝くべきものについて...
内村鑑三 「後世への最大遺物」
...われわれは文学をもってわれわれの考えを後世に遺して逝くことができます...
内村鑑三 「後世への最大遺物」
...われ逝く水に對して...
大町桂月 「月の隅田川」
...この僧侶(ばう)さんが逝くなる五六年前の事だつた...
薄田泣菫 「茶話」
...十八日、石井露月逝く...
高浜虚子 「五百句」
...これよりは山陰道の月暗し十月十九日 十七日山本村家逝く...
高浜虚子 「六百句」
...誄志田君今や我等旧友に先じて逝く...
辰野隆 「旧友の死」
...・梨の花の明けてくる・咲いてゐる白げんげも摘んだこともあつたが・竹藪のしづもりを咲いてゐるもの・蕗をつみ蕗を煮てけさは麦笛ふく子もほがらかな里雑草ゆたかな春が来て逝く・播いてあたゝかな土にだかせる・おもひではあまずつぱいなつめの実・いらだたしい小鳥のうたの暮れてゆく・ぬいてもぬいても草の執着をぬく昨夜はとう/\徹夜...
種田山頭火 「其中日記」
...ついでヘカベー、トロイアの女性の中にまづ哭す、 430『あゝわが愛兒、汝逝く、我いかにして恐るべき災忍び生くべきや! 全都に亙り日に夜に、われの誇のあゝ汝、神の如くにトロイアの男女は彼の救たる汝仰げり、生あらば彼に對しておほいなる譽なりきを、今にして、 435無慚なる哉、運命と死とは汝を捕へたり...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...嗟乎公や逝く、公の後繼者たるべき人物は果して有りや無しや...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...嗟乎公や逝く、公の後継者たるべき人物は果して有りや無しや...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...その町田君も昨年逝くなった...
平林初之輔 「黒岩涙香のこと」
...皆逝(ゆ)く――残れる者も亦(また)逝く――...
松崎天民 「友人一家の死」
...旅は泪よ故里(クニ)はまだかよその日その日の夢になく運命(サダメ)に弱い我は悲しい渡り鳥旅は夢かよ春も逝くかよ柳の雨に濡れて泣く燕でないが我も悲しい渡り鳥―10・5・4―...
森川義信 「旅人の唄」
...半兵衛は弟の竹中重門と小姓を呼んで、静かに身を起してもらい、秀吉に向って、謹しんで半生の恩顧を謝し、そして語気常のごとく、「人の死は、梢(こずえ)のものが、地に帰するようなもので、逝く者は無情、残る者は有情といえ、これを春秋の大処から観れば、極めて平凡な自然のすがたでしかありません...
吉川英治 「黒田如水」
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