...彼の舞妓の絵は浮世絵の遊女や美人のやうに透徹した味を持つてゐるか...
阿部次郎 「帰来」
...始めて何物にも捉へられない玲瓏透徹した大慈悲心を持つことが出来た...
田山録弥 「心理の縦断と横断」
...あとは玲瓏透徹した一面の鏡であると言ひ得ると私は思ふ...
田山録弥 「正宗君について」
...むしろ珍しいくらいいい透徹した頭脳をもっていたように思われる...
寺田寅彦 「亮の追憶」
...透徹した唯物論だけがその資格に値いする唯一のものであることを経験しているのである...
戸坂潤 「現代哲学講話」
...秋の透徹した大気の中に露わに曝されて転っている自分の心が...
豊島与志雄 「湯元の秋」
...秀子を通じて感じた透徹した眼が心のうちに浮んできた...
豊島与志雄 「掠奪せられたる男」
...透徹したものではなかった...
直木三十五 「南国太平記」
...何か冷たい・透徹した・声のない・自然の意志...
中島敦 「狼疾記」
...彼女ほどに透徹した人生をおくったものが...
長谷川時雨 「松井須磨子」
...透徹した青空に、お母さんの情熱が一本の電線となって、早く帰っておいでと呼んでいる...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...透徹した觀念を既に持つた人の目であつたにちがひない...
堀辰雄 「黒髮山」
...出家をされても透徹した信仰におはいりになることはむずかしくはないかと思っていた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...そういう透徹した明察は...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...もっと深刻透徹した名原則をあらわす公式なのだからね...
夢野久作 「「生活」+「戦争」+「競技」÷0=能」
...かくして能の表現は次第次第に写実を脱却して象徴? へ……俗受けを棄てて純真へ……華麗から率直へ……客観から主観へ……最高の芸術的良心の表現へ……透徹した生命の躍動へと進化して行く...
夢野久作 「能とは何か」
...私達はこの明るい透徹した高原の大氣の中で...
吉江喬松 「霧の旅」
...すべてが透徹した眼で見られ...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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