...四辺は既に片づけられ、此処に散華した勇士達の粗末な墓標が、まだ仮りの姿で立っているだけであるが、季節も丁度こんな頃ではなかったのか、澄み透る空気に、鮮かな匂いを見せた秋の日射し...
上村松園 「中支遊記」
...3.火が燃え透る...
關口存男 「新獨逸語文法教程解説」
...主婦は白いすき透るような顔へうっすらと頬紅をさしていた...
田中貢太郎 「黄金の枕」
...「有難う」富士春は、よく、透る声で、返事をした...
直木三十五 「南国太平記」
...画布に触るる浸み透る心境である...
中井正一 「絵画の不安」
...パスカルの賭けはその裁判に賭けられた滲み透る賭けともいえよう...
中井正一 「探偵小説の芸術性」
...お石に逢う度に其情は太十の腸に浸み透るのであった...
長塚節 「太十と其犬」
...けれどもよく透る冗談話や笑声も...
中原中也 「耕二のこと」
...咽喉を透る痺(しび)れるような気持をたしなむように眼をつぶり...
火野葦平 「糞尿譚」
...硝子(ガラス)がすき透ると...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...すき透るやうな色彩からのみ成つてゐる...
堀辰雄 「鳥料理」
...今まで心の澄み透る様な中に居たのが急に蒸しっぽい芥々(ごみごみ)した所に出て...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...スキ透るほどギリギリと...
夢野久作 「白菊」
...骨の髄まで滲み透るほど感銘させられた...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...矢代は鼻孔が頭の頂きまで澄み透るように感じた...
横光利一 「旅愁」
...果ては衣服にも泌み透る...
吉江喬松 「山岳美觀」
...どこかの男がよく透る声で唄いはじめた...
神西清訳 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
...非常に透る聲で、短い節の中に複雜な微妙さを含んで聞きなさるゝ...
若山牧水 「鳳來寺紀行」
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