...細く透る声で答えました...
芥川龍之介 「妖婆」
...強く強く其顏を男の二の腕に摩(こす)り附けて、『貴方は……貴方は……』と言ひ乍ら、火の樣な熱い涙が瀧の如く、男の肌に透る...
石川啄木 「鳥影」
...清香五臟六腑に浸み透るとて...
大町桂月 「町田村の香雪園」
...鷦鷯はその魂に沁み透る孤寂が何よりも好物で...
薄田泣菫 「独楽園」
...そのうちセキセイのぺちゃくちゃの騒音の間から、静かな、しかし音程のひどく高い、鋭く透る、ヒュウ、ヒュウという声が耳にはいった...
高村光太郎 「木彫ウソを作った時」
...不思議に私の心に強く滲み透るような気がした...
寺田寅彦 「小さな出来事」
...私には胸にしみじみとしみ透るものがあった...
中井正一 「国立国会図書館について」
...お石に逢う度に其情は太十の腸に浸み透るのであった...
長塚節 「太十と其犬」
...人の肺腑(はいふ)に透るやうな...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...頬も唇もすき透るように蒼くなって...
久生十蘭 「キャラコさん」
...すき透るように眼のなかが澄んできて...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...灼(や)けただれた匕首(あいくち)がわたしの心臓に突き透るように感じる時もあった...
エルンスト・テオドーア・アマーデウス・ホフマン Ernst Theodor Amadeus Hoffmann 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...今まで心の澄み透る様な中に居たのが急に蒸しっぽい芥々(ごみごみ)した所に出て...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...よく透る甲高い声を廊下に響かせながらききかえした...
「海流」
...薄き外套を透る午後四時の寒さは殊さらに堪へ難く...
森鴎外 「舞姫」
...実際としても筋がよく透るでしょう...
夢野久作 「二重心臓」
...果ては衣服にも泌み透る...
吉江喬松 「山岳美觀」
...どこかの男がよく透る声で唄いはじめた...
神西清訳 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
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