...そのよく響き透るこえで...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...丁度蝋燭の光が行燈の紙を透るようにそこを通り過ぎた...
小泉八雲 田部隆次訳 「茶碗の中」
...彼女は晴れやかなよく透る聲で僕に挨拶した...
田畑修一郎 「南方」
...「有難う」富士春は、よく、透る声で、返事をした...
直木三十五 「南国太平記」
...全身の骨の中までしみ透るような...
直木三十五 「ロボットとベッドの重量」
...しみ透るほど冷たい水だ」と竜之助が眼を冷しながら答えると...
中里介山 「大菩薩峠」
...併しこの少なかつた話が自分には非常に浸み透るやうに覺えた...
長塚節 「竹の里人〔二〕」
...人の肺腑(はいふ)に透るやうな...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...すき透るような皮膚に...
林不忘 「あの顔」
...よく透るくせに、どこかふっくらとふくみのある声で、盆、盆、ぼんのおどりもきょうあすかぎり、明後日(あさって)はなんとかのなにやらさ、と歌いながら、しなやかに手先をくねらせてしんねりと踊っている...
久生十蘭 「生霊」
...すき透るように眼のなかが澄んできて...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...硝子(ガラス)がすき透ると...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...その滲み透る深度にこそ...
逸見猶吉 「逸見猶吉詩集」
...灼(や)けただれた匕首(あいくち)がわたしの心臓に突き透るように感じる時もあった...
エルンスト・テオドーア・アマーデウス・ホフマン Ernst Theodor Amadeus Hoffmann 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...髪の毛のすき透るやうな鳶色の具合...
牧野信一 「南風譜」
...よく透る甲高い声を廊下に響かせながらききかえした...
「海流」
...それはシューマンのようにも複雑となり精神にしみ透るものとなるというのは何と素晴らしい人間らしさでしょう...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...薄き外套を透る午後四時の寒さは殊さらに堪へ難く...
森鴎外 「舞姫」
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