...山中に迷ふ者を正路に導くことは八錢の「八雲」を以つて報いらる可き好意ではない...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...時々迷ふ人間の理性よりは...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...お目かけの口であつたり――若いものはまだ迷ふばかりです...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...うねりも貴(あて)におほどかに起きてまた伏す行末は沙(すな)たち迷ふ雲のはて...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...考へ迷ふやうにかう言つた...
鈴木三重吉 「桑の実」
...地理の區分に迷ふて退縮し...
竹越三叉 「世界の日本乎、亞細亞の日本乎」
...生死に迷ふ...
種田山頭火 「其中日記」
...――ああ私は迷ふ...
種田山頭火 「道中記」
...かくて冥府のおほいなる門のほとりにわれ迷ふ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...嗚呼夕雲のはねのうへたれか「涙の谷」棄てゝ荒鷲翔けり風迷ふ空のあなたに飛行かむ浮世の暗にしられざる光はそこにてるべきに...
土井晩翠 「天地有情」
...清渭の流れ水やせてむせぶ非情の秋の聲夜は關山の風泣いて暗に迷ふかかりがねは令(れい)風霜の威もすごく守るとりでの垣の外...
土井晩翠 「天地有情」
...大の男があれほど迷ふのは...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...――もう迷ふことはないよ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...白粉つけて美(い)い衣類(きもの)きて迷ふて來る人を誰れかれなしに丸めるが彼の人達が商賣...
樋口一葉 「にごりえ」
...私の青春憂鬱症(ピグマリオニズム)はタンポヽの穂のやうに単なる悩みに富んだ夢の中をさ迷ふだけであつた...
牧野信一 「タンタレスの春」
...テオヒラスが職を失うてシシリアの街を慟哭しながらさ迷ふところを...
牧野信一 「痴酔記」
...山々は萌黄浅葱やほとゝぎす浅間は雲に隠れて煙もいづこに立ち迷ふらんと思はる...
正岡子規 「かけはしの記」
...この目は常にをち方にのみ迷ふやうなれど...
森鴎外 「文づかひ」
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