...さうして尚ほ其の近処を立去らずにゐる私を又不審さうに眺め始めた...
高浜虚子 「落葉降る下にて」
...それを近処の子供たちや遊覧客がかこんで見物していた...
谷譲次 「踊る地平線」
...数人の近処の子供らと...
谷譲次 「踊る地平線」
...近処隣りへ気を兼ねるので...
近松秋江 「霜凍る宵」
...そんなときには私は近処の原へいつて大木の立ちならんだ崖のうへに寐ころんで山を見ながら幾時をすごした...
中勘助 「銀の匙」
...そんなものをみたばかりでも胸がわるいのを近処の工場で鉄板をたたく音がどんがんどんがんひつきりなしに響いて頭もわれさうに頭痛がしてくる...
中勘助 「銀の匙」
...八家のまはりには切りのこした桑の木があつたので慰みかたがた子供たちの実地教育にもなるといふ父の考から近処ですこしばかりの種をわけてもらつて蚕をかつたことがあつた...
中勘助 「銀の匙」
...行き馴れし近処の床屋(とこや)に行きしに僕より五ツ六ツ年上の若い衆...
永井荷風 「桑中喜語」
...」「この近処なら...
永井荷風 「ひかげの花」
...近処の縁日でおたみが髪結に手を引かれているのを見てから...
永井荷風 「ひかげの花」
...近処の蝉取(せみと)りに歩く子供等の偸(ぬす)み去るところとなった...
永井荷風 「枇杷の花」
...まだ近処を襲っている音だけは...
中島敦 「光と風と夢」
...何処(どこ)か近処(きんじょ)の光りが入ってくる意味にも考えた...
沼田一雅 「白い光と上野の鐘」
...すぐ近処の英百合子の家へ...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...創の近処三所括り呪言を称う(リヴァルス著『トダ人篇』)...
南方熊楠 「十二支考」
...三十年経て故郷に還る途上その近処の川辺に息(やす)む...
南方熊楠 「十二支考」
...翌日近処で心安かったから亭主に会って...
南方熊楠 「十二支考」
...裁判所の近処(きんじょ)に...
森鴎外 「独身」
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