...近々と蓑の手の寄せた提灯の――模樣かと見た――朱の映つたのである...
泉鏡花 「遺稿」
...「それで――某、一存でござりまするが、早々、一旦、江戸へお戻りになりましては――御家督のこともあり――恐らく、近々、閣老より、御呼立ての沙汰があろうと考えますが、その前に、御出府なされましては?――」「秋水党は、幾人くらいおる?」「さあ――詳しいことは、何うも申し上げられませぬが、若者の重な奴は悉(ことごと)く入っておる模様でござります」「そして、妾をねらって――妾をねらっておる者は?」「悉(ことごと)くの奴が、ねらっております」お由羅は、歯の抜けた昨夜の夢を思い出して(不吉な)と、感じた...
直木三十五 「南国太平記」
...その手紙には近々当地を引き上げて...
夏目漱石 「それから」
...真っ黒な水のほとりに近々と立っていたのです...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...籐の椅子(いす)を近々と寄せました...
野村胡堂 「水中の宮殿」
...近々祝言までさせようという話のあったお民です...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...三年前の約束を思い出させたかったんです」「…………」平次は二十歳(はたち)娘の盲目な恋を火のように近々と感じておりました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...近々嫁入りさす娘だ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...――死んでしまった妹の命はどうしてくれるでしょう」近々と響く潮鳴りの中に...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...額口へ近々と寄った...
野村胡堂 「焔の中に歌う」
...山鳩が近々と啼(な)き始めた...
林芙美子 「浮雲」
...近々に立ち退いてくれるやうに...
林芙美子 「浮雲」
...一部分は近々に貰える歳末賞与をそれに当てることもできるはずだが...
ニコライ・ゴーゴリ 平井肇訳 「外套」
...足どめ来り近々入営で心境ひどくすさみ...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...和算の繁栄は近々二百余年に過ぎないので...
三上義夫 「文化史上より見たる日本の数学」
...S子さんがごく近々おめでたで...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...近々(ちかぢか)に下向なさるとこの前の書面にあったが』と...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...いずれ近々(ちかぢか)には...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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