...私の迂濶からどんな大事な処を見おとしてゐるかもしれませんがまづこの位の処です... 
伊藤野枝 「妾の会つた男の人々（野依秀一、中村弧月印象録）」
...ちょっと取調べを要することが出来たという……」「いまさら取調べなんて迂濶千万ではありませんか...
海野十三 「深夜の市長」
...」中沢博士は「ははは……」と言つて、あんぐり口を開（あ）けて笑つたばかしで、別に描（か）くとも描（か）かないとも判然（はつきり）返事をしなかつたが、腹の内（なか）では、「大麓め、まだ俺の絵を見た事も無いと見えるな、迂濶だなあ...
薄田泣菫 「茶話」
...まことに迂濶なことだと言わねばならぬ...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...」銀子はまたしても自分の迂濶（うかつ）に思い当たり...
徳田秋声 「縮図」
...それ吾人が先祖は決して徳川氏封建末路の人民のごとく遅鈍・迂濶（うかつ）にしてしかも怯魂軟腸（きょうこんなんちょう）...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...とかいうような迂濶な抽象的な問題提出の様式は消えてなくなるので...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...恐らくは侯の迂濶とする所なる可し况むや侯は大隈板垣伯等の如く...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦（抄）」
...実行的手段には迂濶であるやうだ...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦（抄）」
...迂濶にもあなたの名前を口走り...
豊島与志雄 「化生のもの」
...そのホテルのことを初めから聞いて置かなかつたのは迂濶だつた...
野上豐一郎 「大戰脱出記」
...迂濶なる作者といえども...
久生十蘭 「魔都」
...「われら迂濶（うかつ）にも...
本庄陸男 「石狩川」
...これはちと迂濶（うかつ）すぎる...
本庄陸男 「石狩川」
...さればとて先生はいにしへの人の立てし抽象理想論の迂濶（うくわつ）なる跡を追はむとにもあらず...
森鴎外 「柵草紙の山房論文」
...二曹休とてそう迂濶（うかつ）に敵の謀略にかかるわけはない...
吉川英治 「三国志」
...迂濶（うかつ）にはあしらえない...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...わたしが迂濶（うかつ）にさわったらばすぐに咬（か）みつきそうな様子で...
リットン Edward George Earle Bulwer-Lytton 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
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