...辻占賣の聲などのもつて居た情調を想ひ出させるやうな或るものが無いとは云はれない...
寺田寅彦 「伊香保」
...これで対照されていいと思うものは冬の霜夜の辻占(つじうら)売りの声であった...
寺田寅彦 「物売りの声」
...なる程九月三十日には、街頭で発見された虐待児童は乞食二十一名、辻占売十五名、新聞売十一名、遊芸十名、絵本売六名、コリント台売四名、花売二名、合計六十九名だったのが、この法律実施の初日である十月一日には僅かに辻占売一人と乞食三人としか広い東京市の街頭で発見されなかったと新聞が報じているから、該法律の効目には目ざましいものがあるようだが、所が、一方九月三十日迄に来たお酌の就業届出数は、例年よりも三〇〇件を増しているという、裏の事実もあるのである...
戸坂潤 「社会時評」
...聞く辻占(つじうら)にいそいそと雲足早き雨空(あまぞら)も...
永井荷風 「すみだ川」
...古河黙阿弥(ふるかはもくあみ)の著述に大蘇芳年(たいそよしとし)の絵を挿入(さしい)れた「霜夜鐘十時辻占(しもよのかねじふじのつじうら)」...
永井荷風 「虫干」
...時にとっての辻占(つじうら)はないかというところまで...
中里介山 「大菩薩峠」
...また辻祭や辻占と称して四ツ辻が俗信と深い関係を有しているのはこれが為めである...
中山太郎 「本朝変態葬礼史」
...突然辻占屋(つじうらや)に会った...
夏目漱石 「三四郎」
...したがって恐れる男とか恐れない女とかいう辻占(つじうら)に似た文句を...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...星占学の辻占から...
萩原朔太郎 「易者の哲理」
...白い昆布(こんぶ)に辻占(つじうら)を巻いて...
林芙美子 「風琴と魚の町」
...その恋の辻占に文句があるンだ...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...……鮨箱の中からどんな辻占が出るか...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...孝太郎はふと思ひ決めましてその辻占を買ひました...
槇村浩 「孝太郎と悪太郎」
...之に湯を注げば蛤自ら開きて昆布、辻占、麩、鰕など躍り出る仕掛なり...
子規 「闇汁圖解」
...いつも一杯めし上ると声色(こわいろ)使いや辻占(つじうら)売り...
夢野久作 「超人鬚野博士」
...いつのまに」所名(ところな)の辻占(つじうら)も悪い...
吉川英治 「私本太平記」
...」伯爵は意味ありげに、――「気をつけろよ、辻占が悪い...
レスコーフ Nikolai Semyonovich Leskov 神西清訳 「かもじの美術家」
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