...三太郎の躍る恰好は定めて珍妙だつたらうねなどと云つて冷かす友人がゐなかつたのは幸だつた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...おどろおどろと月落ちて、世はただ靄(もや)となる中に、ものの影が、躍るわ、躍るわ...
泉鏡花 「悪獣篇」
...躍る血潮の持っていきどころがない...
海野十三 「火薬船」
...私はあきらめて岩にくだけて躍る水沫をしばらく眺め...
太宰治 「風の便り」
...出漁の船は躍る銀鱗を満載して港にはひるのである...
太宰治 「津軽」
...そして、躍る胸を抑えて、なお動かし難い証拠の挙がるのを待っているうちに、やがてそののっ退きならぬ証拠も、「姐御(あねご)、姐御!」と到頭、毒蛇(コブラ)の嗅(か)ぎつける日がきたのであった...
橘外男 「グリュックスブルグ王室異聞」
...――山口は痘魔が躍るのによい都市らしい!三月六日雨...
種田山頭火 「其中日記」
...私の方も嬉しくて心躍るのだが...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 三上於菟吉訳 「曲れる者」
...鱒の躍る渦巻く小川...
中島敦 「光と風と夢」
...主體は變り行く將來の展望を樂しみつついつも新しき希望に躍るであらう...
波多野精一 「時と永遠」
...どの位躍るような気もちで私はその記録を手にとった事でしょう...
浜尾四郎 「彼が殺したか」
...据(す)えた胸も率(いざ)となれば躍る...
二葉亭四迷 「浮雲」
...しろき骨は水際に散らばるそこに生あるものはただ躍るはだか身の剣ばかり見よ...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「浅瀬に洗う女」
...不思議にもわが我儘を許して長く變らぬ僅少の親しき友を有せる事を思ふ毎に限り無く嬉しき心地して胸の躍るを覺ゆ...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...東京の土を踏んでドキドキと躍る心大正十二年の秋以後...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...わかい小鳥の躍る胸...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...)今宵のこころ躍るかな...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...馬蹄(ばてい)の躍るところ...
吉川英治 「新書太閤記」
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