...折り重なった鈍色(にぶいろ)の雲のかなたに夕日の影は跡形もなく消えうせて...
有島武郎 「或る女」
...日光に曝しておいたら一と月も立たぬうちに跡形もなく消えてしまふと云ふ...
谷崎潤一郎 「文房具漫談」
...そうした詩が数千年そのままに伝わって来ていたのがわずかにこの数十年の間に跡形もなく消えてしまうのではないかと疑われる...
寺田寅彦 「自由画稿」
...それ以上は跡形もなく消え失せた大きな絵から切り抜かれた小さい断片のように...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...こういうことを信じてるんだよ――いつかはこの苦しみも癒(い)えて跡形もなくなり...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...その決心は跡形もなく消え失せてしまったのである...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...跡形もなく消えてゆく……...
豊島与志雄 「悲しい誤解」
...それが跡形もなくなって...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...同じように忽(たちま)ち跡形もなく消え失せて...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...王女が跡形もなく消えたからだよ」「本当ですか...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部」
...もう柘榴の木なんか跡形もなく晩夏の夾竹桃が...
正岡容 「下町歳事記」
...ついこの間まで身の周りを包んでいてくれた青空が跡形もなく失せつくして...
正岡容 「小説 圓朝」
...すべてが跡形もなく消えてしまう...
武者金吉 「地震なまず」
...それまでの彼の知識をただ一ぺんに跡形もなくしてしまった...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...村中跡形もなく洗いつくされていた...
柳田国男 「故郷七十年」
...陣々の営舎は一夜のうち跡形もなくなってしまった...
吉川英治 「三国志」
...跡形もなく「朗らかさ」を毟(むし)り取って仕舞った...
蘭郁二郎 「夢鬼」
...水晶の栓は跡形もなく消えて無くなった...
モウリス・ルブラン 新青年編輯局訳 「水晶の栓」
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