...此叔父の蹣跚(よろよろ)した千鳥足と...
石川啄木 「刑余の叔父」
...フラフラと蹣跚(よろめ)いた...
海野十三 「深夜の市長」
...六郷川をわたり、原村の立春梅は閑却して、新田神社の前を過ぎて、池上村に來り、鑛泉松葉館に至りて、浴し、酒し飯し、腹と共に、昨日來の望みも滿ち、醉脚蹣跚として、大森の停車場に來り、茶店に憩ふほどに、乘客非常に多く、わざ/\杉田より折り來りし梅枝、いと大なれば、或ひは汽車の中に持ちゆくこと難く、持ちゆくも、人込の爲に、あたら花を散らされては甲斐なしとて、宿の主婦の花ほしげなるを幸に、之に與へて、遂に全く花と別れぬ...
大町桂月 「杉田の一夜」
...醉歩蹣跚として去る...
大町桂月 「水戸觀梅」
...酔歩蹣跚(すいほまんさん)の姿で...
太宰治 「春の枯葉」
...さながら醉人(ゑひどれ)のやうに蹣跚(よろめ)く...
シェークスピヤ William Shakespeare 坪内逍遙訳 「ロミオとヂュリエット」
...再び桶の中へ蹣跚(よろめき)き込んだ...
ディッケンス Dickens 森田草平訳 「クリスマス・カロル」
...浴衣(ゆかた)がけで車の前を蹣跚(まんさん)として歩いて行く...
寺田寅彦 「KからQまで」
...敵來ぬ中は蹣跚の牛群彼はやしなへり...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...蹣跚(まんさん)と改札口を出て行くのが見えた...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...しかしてそのわずかに生存するものとても痩歩蹣跚(そうほまんさん)すでにその片足をば墓中に投じたるにあらずや...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...蹣跚(まんさん)と改札口を出て行くのが見えた...
徳冨蘆花 「熊の足跡」
...八五郎の足は蹣跚(まんさん)として居ります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...引き摺るようにして蹣跚(まんさん)として来たる...
長谷川伸 「中山七里 二幕五場」
...蹣跚(よろめ)きさうな身体を支へて呉れさうな気がした...
原民喜 「閑人」
...昭和十年一月二日の午前三時半ごろ、酔歩蹣跚として、新橋から山手へ帰ろうとされた方々、あるいは、タキシーによって銀座四丁目を経て、四谷、牛込の方へ赴かれようとなさった方々がそれらの地点に差しかかった時、突然暗闇から私服あるいは新撰組の隊士が現われて交通を制止し、非常なる大廻りをさせられて帰宅されたことを思い出されるでしょう...
久生十蘭 「魔都」
...純造よりも五寸がた丈の高い西岡はそのガツシリした偉躯を蹣跚とさせながら洞ろな声を張り挙げて切りに拙い歌をうたつた...
牧野信一 「坂道の孤独参昧」
...中腰になっていた寿女は大袈裟に蹣跚(よろ)けて隣りの枠台に手をつき...
矢田津世子 「※[#「やまいだれ+句」、第4水準2-81-44]女抄録」
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