...葉子は気味の悪いほどなめらかな足どりで...
有島武郎 「或る女」
...やがて鈍い足どりで私の祖母が其処に近づいて何か云ひながら老婆を小屋の中に送り込みました...
伊藤野枝 「白痴の母」
...這(は)うような遅い足どりで――天地が塗りつぶされた灰色の中に...
中里介山 「大菩薩峠」
...じりじりとじれる足どりで...
中里介山 「大菩薩峠」
...足どりこそ、たどたどしいもので、歩みつかれて息ぎれのする呼吸を見てもあぶないものだが、もしそれ、時とところとによっては、身の軽快なること飛鳥の如く、出没変幻すること遊魂の如くなるが――弥勒堂(みろくどう)あたりから松柏の多い木の間をくぐる時分に、これはまた、遽(にわ)かにパッと満身に青白の光が燃えついて来たのはどうしたものでしょう...
中里介山 「大菩薩峠」
...その足どりも甚だ確かなもので従容自若としていたとはいわれる...
野上豊一郎 「パリの地下牢」
...階下へはゞかるやうな静かな足どりで顔を洗ひに行つた...
林芙美子 「浮雲」
...ちょっとといってゆっくりした足どりで部屋を出て行ったが...
久生十蘭 「魔都」
...いそいそした足どりで...
火野葦平 「花と龍」
...ゆっくりした足どりで説教壇へ上がってゆくのを...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「ウィリアム・ウィルスン」
...かなり堅くなったような足どりで...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トリスタン」
...目がくらくらする様な気になりながら私は一番奥に居る事だと思ったので西洋間へ速(はや)い足どりで入った...
宮本百合子 「悲しめる心」
...一歩ずつ大地を踏みしめるような足どりで上屋敷へ帰っていった...
山本周五郎 「落ち梅記」
...力のぬけたような足どりで方丈から出ていった...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...そのままでいるんだぞ」よろめく足どりで...
山本周五郎 「やぶからし」
...さらにその足どりは加速度になって...
吉川英治 「江戸三国志」
...いささか、夜来の自失を取りもどし、足どり、眼づかい、ようやく本来の彼に立ち返っていた...
吉川英治 「新・水滸伝」
...武蔵のあるいた足どりを推考していると...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
便利!手書き漢字入力検索