...あたりの低い廂(ひさし)をもった長家の上に超然と聳(そび)えていた...
海野十三 「ゴールデン・バット事件」
...一方の相手がイヤに超然としてゐるために――詳しく言へば...
田山録弥 「或新年の小説評」
...彼が少なくともかかる妄想に対しては超然としているだろうと...
ドイル Arthur Conan Doyle 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...例の超然とした貴族主義の形を取るから...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...局外者としても常に超然として公衆環視の圈外に特立せむとするの態度を執るものゝ如く...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...いつそ超然と相手を默殺した方がましだ...
中島敦 「かめれおん日記」
...文學者はノンキに、超然と、ウツクシがつて世間と相遠かる樣な小天地ばかりに居ればそれぎりだが大きな世界に出れば只愉快を得る爲めだ抔とは云ふて居られぬ進んで苦痛を求める爲めでなくてはなるまいと思ふ...
夏目漱石 「鈴木三重吉宛書簡―明治三十九年」
...生意気を云うなと超然と構えるだけに腹ができていなければなりません...
夏目漱石 「文芸の哲学的基礎」
...死ぬ事を苦にせんものは幸福さ」と独仙君は超然として出世間的(しゅっせけんてき)である...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...名利に超然とする人はあり得るが...
野村胡堂 「楽聖物語」
...ドビュッシーだけがワグネリアンの外に超然としているわけにはいかなかったのであろう...
野村胡堂 「楽聖物語」
...超然とした運命が流れ出てゐるやうに思へる...
林芙美子 「浮雲」
...出て行かなくてはなりませんの」山下氏は超然とした眼つきで...
久生十蘭 「キャラコさん」
...皇帝は髭をしごきながら超然と部屋の中を歩き廻り始めたのである...
久生十蘭 「魔都」
...私達は超然とした調子で...
水野葉舟 「帰途」
...この語もまったく超然としてはいなかったろうということである...
柳田国男 「海上の道」
...時代に捉われず超然として自己の趣味に没頭する...
山本笑月 「明治世相百話」
...また玉虫廚子の密陀画が、その線の奇しき律動によって、一種神秘的な、同時に鋭い哀感を起こさせるに対し、右の勢至やその相脇立ちたる観音などの像が、そのなだらかにして朗らかな線の律動により幾分冷ややかに、超然とした、清浄な印象を与えるのは、その根柢にたどって行けば結局は二つの時代精神の相違に帰着し得ると思う...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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