...春になると、そこらの草や木が、われがちに太陽の光を飽飲して、町娘のように派手で、贅沢な色で、花のおめかしをし合っているなかに、自分のみは、黄色な紙の切屑のようにじみな、細々(こまごま)した花で辛抱しなければならず、それがためには、大気の明るい植込みのなかに出ることも出来ないで、うすら寒い勝手口に立っていなければならない山椒の樹は、何をおいても葉で自らを償い、自らを現すより外には仕方がなかった...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...うちの伜は洋行してから食べ物が贅沢な方だが...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...木柱なども可也贅沢なものが使つてある...
高浜虚子 「発行所の庭木」
...贅沢な甘い菓子――それを私は思出さずには居られない...
田山録弥 「尾崎紅葉とその作品」
...極めて尋常でそして可なり贅沢な応接室の片隅...
豊島与志雄 「自由人」
...贅沢な玩具などを買うことは出来なかった...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...奉公人にしては贅沢な銘仙の袷(あわせ)...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...今はセエラの贅沢な衣裳に押されている形でした...
フランセス・ホッヂソン・バァネット Frances Hodgeson Burnett 菊池寛訳 「小公女」
...僕は荒涼とした地方を逍遙つてゐる贅沢な旅人かもしれない...
原民喜 「魔のひととき」
...加十恍惚となる事並に贅沢なる朝食の事フト眼を醒すと加十は長椅子のようなものの上に眠っていたので...
久生十蘭 「魔都」
...贅沢なものだった...
古川緑波 「甘話休題」
...始終勝つてばかりゐると贅沢な心が起つてね...
牧野信一 「青白き公園」
...女を三人も使って贅沢な生活をしている...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...これが又非常に贅沢な風味のあるものらしかった...
夢野久作 「梅津只圓翁伝」
...亜米利加(アメリカ)で流行(はや)る一番贅沢な遊びなんですってさあ……ホホホホホ...
夢野久作 「支那米の袋」
...恐ろしく贅沢なものに見える...
夢野久作 「戦場」
...贅沢な向付(むこうづけ)や熱い椀を膳にして配った...
吉川英治 「脚」
...最後には、「降(こう)を乞いながら、憐愍(れんびん)を仰ぐなど、贅沢な云い分...
吉川英治 「新書太閤記」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??