...原稿料を請取ると大いに満足して直ぐ何処(どこ)へか旅行しようと得意になる心のさもしさを賤(かろ)んじて日記に罵(ののし)っている...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...然し人形と全然關係のない萬歳・ササラ・鉢たたき・春駒等の人々も同じやうに下賤の者と見られてゐるのを考へれば必らずしも人形のみがその原因とは信じ難い...
竹内勝太郎 「淡路人形座訪問」
...されど己が世の山賤めきたるには...
辰野隆 「雨の日」
...わが見る所卑賤なる素生にあらず此將士...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...あるいは貧賤なる農夫・傭工(ようこう)・職人をして権利を保有せしむるの嘆願書となり...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...之に反して物質という問題は卑賤である...
戸坂潤 「イデオロギーの論理学」
...却ってそれが初めから終りまで愚衆であり賤民であるからにこそ他ならぬ...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...女は「緋(ひ)」と賤(いや)しむごとく答える...
夏目漱石 「一夜」
...写生文家の人事に対する態度は貴人が賤者を視るの態度ではない...
夏目漱石 「写生文」
...下賤(げせん)で育ったにしては...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...貧賤は不平の源にあらざるなり...
福沢諭吉 「学問のすすめ」
...むしろナポリの喜劇役者の種族から出ているらしかった――なかば賤業婦の情夫で...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...熟々(つく/″\)考へる迄も無く吉村忠雄氏又は次郎生の如きは「上下卑賤の階級」の最も卑賤なる部類に屬する人に違ひない...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...それが教育というものを受けた事のない卑賤な男なら是非が無い...
森鴎外 「ヰタ・セクスアリス」
...杣(そま)・山賤(やまがつ)の為に重荷を負ひ...
柳田国男 「山の人生」
...殊にさう云ふ賤しい眼のよく動く妻を持つてゐる男が彼には下品に見えた...
横光利一 「悲しみの代價」
...五十貫か六十貫そこそこの足軽小頭のはずだが」「そんな微賤(びせん)なやつが奉行か...
吉川英治 「新書太閤記」
...中には、「芸道には、貴賤の差も、名人と初心の差も、道においては、ないはずでござろうに」などと小理窟こねて、憤々として帰る武芸者もあるが、何ぞ知らん、石舟斎はすでに去年、世に亡き人になっていた...
吉川英治 「宮本武蔵」
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