...悪魔でさえが眼を塞(ふさ)ぐような醜い賤(いや)しい思いをいだきながら...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...露国最下の賤民たる放浪の徒たりき...
石川啄木 「閑天地」
...大空から賤機山(しずはたやま)の蔭がさすので...
泉鏡花 「婦系図」
...「賤しき身には餘りに勿體なき仰せ……」手古奈はこれだけの挨拶が精一ぱいである...
伊藤左千夫 「古代之少女」
...賤業婦の噂ばかりの憲兵連がゐるのを思ひ出した...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...眼は若松賤子の名をたづねて表紙裏の目次をさまよふ...
高濱虚子 「俳諧師」
...「かれは賤しきものなるぞ...
太宰治 「津軽」
...賤(いや)しい譲歩...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...名声をも快楽をも金をももたらし得ないような人々――ちょうどこの二人の微賤(びせん)な読者のように...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...わたくしは賤(いや)しいものでござりまするけれど...
中里介山 「大菩薩峠」
...さよふけて月をもめでし賤(しづ)の男(お)の庭の小萩の露を知りけりと云ふのがあります...
楢崎龍、川田雪山 「千里駒後日譚」
...私の性質は人に附合(つきあ)いして愛憎(あいそう)のない積りで、貴賤貧富、君子も小人も平等一様、芸妓に逢うても女郎を見ても塵も埃も之(これ)を見て何とも思わぬ...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...若松賤子「忘れ形見」などの作品が現れた...
宮本百合子 「明日咲く花」
...しかるに今の世人は口で人を貴んで心で人を賤(いやし)むという風(ふう)がある...
村井弦斎 「食道楽」
...敷物もなく緋の茵(しとね)もなき賤(しず)が家に...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...微賤(びせん)な一廷尉の分際(ぶんざい)が...
吉川英治 「私本太平記」
...賤(しず)ヶ嶽(たけ)決戦の楔子(くさび)はこの日に打ちこまれたといっていい...
吉川英治 「新書太閤記」
...キリスト教信者は賤しい貧民に多いという先入見がこの町にひろまっていて...
和辻哲郎 「鎖国」
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