...網床めくものを結び付けたる中に半ば裸なる賤夫(ラツツアロオネ)のいと心安げにうまいしたるあり...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...かの女が暫時胡魔化してゐればいいと云ふ覺悟を持つてゐるなら――そして神田の同郷人や炭屋の主人を胡魔化し損ねたのが事實であつたとすれば――賤業婦の心も同前で...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...その話をしてゐたときの芥川には少しも伯母を賤しめてゐる樣子はなかつた...
小穴隆一 「二つの繪」
...すべて貧富貴賤を論ぜず同一の学校に於て同一に教育する...
大隈重信 「女子教育の目的」
...無理矢理オフィリヤを僕の妃に押しつけようとする卑劣下賤(げせん)の魂胆なのだ...
太宰治 「新ハムレット」
...道場の内に一杯になっている聴衆が、貴賤、上下、道俗、男女の分ちなく、袂を絞らない者はありませんでした...
谷崎潤一郎 「三人法師」
...賤(いや)しい真似(まね)をしてそれをまた拾い取らなければならなかった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...賤しい生れでしたが...
豊島与志雄 「三つの嘘」
...貴賤道俗の前後左右に走り従うもの何千何万ということであった...
中里介山 「法然行伝」
...ことに賤(いや)しむべき...
野呂栄太郎 「十月革命と婦人の解放」
...又子供ながらも卑劣な事をしたり賤(いや)しい言葉を真似たりすれば之(これ)を咎(とがむ)るのみ...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...歌の上に老少も貴賤(きせん)も無之(これなく)候...
正岡子規 「歌よみに与ふる書」
...本居宣長その賤役たるを言い...
南方熊楠 「十二支考」
...あの茶人たちが賤(しず)が家(や)に炉(ろ)を切って...
柳宗悦 「民藝四十年」
...「賤しい楽女のわたくし...
吉川英治 「三国志」
...今ここから間近な賤ヶ嶽...
吉川英治 「新書太閤記」
...しずやしず賤(しず)のおだまき くり返しむかしを今になすよしもがな――なすよしもがな歌い終るのと一緒(しょ)であった...
吉川英治 「日本名婦伝」
...光圀ごとき下賤(げせん)のままになりましょうや...
吉川英治 「梅里先生行状記」
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