...仏法(ぶっぽう)の貴賤を分たぬのはたとえば猛火(みょうか)の大小好悪(こうお)を焼き尽してしまうのと変りはない...
芥川龍之介 「尼提」
...休(いこ)ひゐる賤(しづ)が翁(おきな)を斧(おの)の柄(え)を手握(たにぎ)りもちて...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...けだし神を畏るる如きは要するに物質的恩恵を希求する人間の賤(いや)しき動機より発せしもの...
内村鑑三 「ヨブ記講演」
...更に社寺豪族に隷屬する下賤の奴僕となつて散所と呼ばれたのであらう...
竹内勝太郎 「淡路人形座訪問」
...賤(いや)しい稼業(かぎょう)の女でありながら...
近松秋江 「黒髪」
...それとも貴族が賤民から特権によって区別されるということがその唯一の本質であるように...
戸坂潤 「現代哲学講話」
...彼はブルジョア的な経営や管理・支配の事務を賤み...
戸坂潤 「現代哲学講話」
...卑しい賤民(せんみん)...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...腹の賤(いや)しい母を生かしておいては...
中里介山 「大菩薩峠」
...顔の醜いのを自認するのは心の賤(いや)しきを会得(えとく)する楷梯(かいてい)にもなろう...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...お江野は下賤に育った女ですが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...家の貧富貴賤を問わず婦人の身に必要の事なりと知る可し...
福沢諭吉 「女大学評論」
...履(り)の価が賤(やす)くなりましたように存じまする」と申上げた...
穂積陳重 「法窓夜話」
...海鱸を最も多しといへり(是其大略にして漁者賤民等之産物の事に不レ明なれば...
松浦武四郎 「他計甚※[#「麾」の「毛」に代えて「公の右上の欠けたもの」、第4水準2-94-57](竹島)雜誌」
...そこにはなんら賤しい分子はないのだ...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「悩みのひととき」
...吉村忠雄氏又は次郎生は「卑賤階級」の人間に特有な「今や國事は日日に多端で三文文士の御託を聞くよりも一人でも多くの實際家を必要としてゐる」と...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...卑賤(ヒセン)ニ依ラズ...
吉川英治 「私本太平記」
...賤ヶ嶽の後、同僚の加藤福島を始め、七本槍とうたわれた若者はみな千石、二千石の加増をもらったが、佐吉は、実戦の武功といっては、首一つ取っていないので、彼にも加増の恩命があったとき、固くそれを辞退していた...
吉川英治 「新書太閤記」
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