...さうしてそれは此處でも亦その藝術論を貫く主動機となつてゐるのである...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...よござんすったら愛さん……」自分のあとを追おうとする愛子を刺し貫くほど睨(ね)めつけておいて葉子は部屋を出た...
有島武郎 「或る女」
...始終転々して一事を貫く熱心が欠けていた...
内田魯庵 「美妙斎美妙」
...しかし私は日本のセミの無邪気な力一ぱいの声が頭のしんまで貫くように響いてくるのを大変快く聞く...
高村光太郎 「蝉の美と造型」
...そしてあらゆる道を摂めて貫く...
種田山頭火 「其中日記」
...これ等の諸歴史を貫く時間の尺度が国際的であるのは...
戸坂潤 「社会時評」
...現今の映画のカットを一本の鋼鉄が貫くような...
中井正一 「美学入門」
...物質不滅の法則と勢力不滅の法則とが自然界を貫く二つの根本原理である...
中谷宇吉郎 「簪を挿した蛇」
...色や……うつろう」と細き糸ふって波うたせたる時の如くに人々の耳を貫く...
夏目漱石 「薤露行」
...撃ち貫く的の黒星「兄上」たまりかねた繁代...
野村胡堂 「江戸の火術」
...きっとそういう態度を貫くことはできまい...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「審判」
...ここは仏蘭西の※を縦に貫く坦々たる国有道路(ルウト・ナシォナアル)...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...一切万事有形も無形も文明主義の一以て之を貫くと敢て公言して又実際に之を実行しながら...
福沢諭吉 「新女大学」
...臍(ほぞ)を噬(か)んでいる胸元を貫くような午砲(ごほう)の響(ひびき)...
二葉亭四迷 「浮雲」
...几董(きとう)の俳句に「晴るる日や雲を貫く雪の不尽」といふがあり...
正岡子規 「歌よみに与ふる書」
...陽子の胸を若々しい歓ばしさと一緒に小さい鋭い悲しさが貫くのであった...
宮本百合子 「明るい海浜」
...この七顆(か)の珊瑚(さんご)の珠(たま)を貫くのは何の緒か...
森鴎外 「杯」
...すべての工藝美を貫く法則と云わねばならぬ...
柳宗悦 「工藝の道」
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