...三國屋に居ると何んの彼(か)ので日に十五錢宛貪(と)られるがな...
石川啄木 「赤痢」
...貪るやうに読み進んでゆきました...
伊藤野枝 「背負ひ切れぬ重荷」
...「貧(ひん)すれば貪(どん)すという言葉がありますねえ...
太宰治 「彼は昔の彼ならず」
...張が取って見ると、「泰山主者(たいざんしゅしゃ)、金天府(こんてんぷ)に牒す」と書き、その三行目に、「財を貪り、殺を好む前(さき)の徳化県の令張某」としてあった...
田中貢太郎 「賭博の負債」
...歯ぐきから膓(はらわた)の底へ沁(し)み徹(とお)る冷(つ)めたさを喜びつつ甘い粘(ねば)っこいの実を貪(むさぼ)るように二つまで食べた...
谷崎潤一郎 「吉野葛」
...貪る心を放下せよ...
種田山頭火 「行乞記」
...彼は自分の貪食(どんしょく)に腹がたった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...銚子の底に残っている冷たい酒を貪り飲んだ...
豊島与志雄 「反抗」
...いんがん」「左様」「どういう字を書くのだ」「淫は富貴に淫するの淫の字――これは愛染明王が大貪著時代(だいどんじゃくじだい)の拭うても拭いきれない遺品(かたみ)だ...
中里介山 「大菩薩峠」
...フーフー吹いて貪(むさぼ)り食う有様は寧ろ痛快と云いたい位である...
中里介山 「百姓弥之助の話」
...「何処まで?」中から突慳貪(つっけんどん)な声がした...
堀辰雄 「菜穂子」
...いまや貪婪な窓と交代して...
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 堀辰雄訳 「窓」
...カミィル巡査は貪るように珈琲(コーヒー)を飲んで...
牧逸馬 「ロウモン街の自殺ホテル」
...故郷の空気を貪るおもひであつた...
牧野信一 「茜蜻蛉」
...健康で余り安逸を貪(むさぼ)ったことの無い花子の...
森鴎外 「花子」
...貪欲でも横暴でもないこと...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...長夜の夢を貪(むさぼ)ッているが...
吉川英治 「新・水滸伝」
...ぺろぺろと長い舌で貪(むさぼ)っていた...
吉川英治 「親鸞」
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