...しかし貞淑な夫人の数々の人知れぬ心遣いは...
江戸川乱歩 「一寸法師」
...これが封建時代の貞淑な女房であったら...
谷崎潤一郎 「鍵」
...彼女は最早や夫の破滅を享楽する残忍性を捨てゝしまって、其の本然の女らしい性質に復(かえ)り、嘗(かつ)て自分が害を加えた醜い夫の容貌に心からなる同情と憐愍(れんびん)とを注ぎながら、貞淑な妻として、また慈愛深き母として、前半生の過誤と罪悪とを償うように努めたので、茲に始めて完全な夫婦の愛が成立し、織部正は未だ経験したことのない感激に充ちた生活を送った...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...(笑って、涙ごえで)でも、あなたは恥かしくないこと? わたしはこんなにいい児で、貞淑な奥さんで、じぶんにピンと錠をおろして、お墓へはいるまで操を立てとおすつもりなのに、あなたったら……よくも恥かしくないことねえ、おでぶちゃん? 浮気をしたり、もんちゃくを持ちあげたり、なん週間もうちを明けたり……三ポポーとルカールカー (登場、おどおどして)奥さま、だれだか、たずねてまいりましたよ...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「熊」
...なおさら痛ましいのは――ご婦人がどこから見ても男子一身の愛を捧げるに足る貞淑な人物であることであります...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「サセックスの吸血鬼」
...その上明敏貞淑な女社長として令名を天下に馳(は)せているのでした...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...それほど貞淑な妻や善良な姑は...
萩原朔太郎 「小泉八雲の家庭生活」
...それを嬉(うれ)しそうにしている貞奴をわたしは貞淑なものだと思った...
長谷川時雨 「マダム貞奴」
...実に立派で貞淑な女だよ! いろいろとよく尽してくれるからなあ……お前ほんとにするかい? おらあ...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...元来カフェーの灯や御神灯には縁が遠く度重なる独り寝の枕に故郷の貞淑なる妻君の上ばかりを思っている彼は...
森於菟 「屍体異変」
...ローマの貴族サビヌスの貞淑な夫人なども...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...また(c)美しい(b)貞淑な婦人との交わりも...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...多くの貞淑なる人々がこれを憎み避くるに及び...
柳田国男 「木綿以前の事」
...いたって貞淑な婦人であったが...
柳田国男 「雪国の春」
...お二人の先生方は安心して貞淑な...
夢野久作 「少女地獄」
...貞淑な女性であった...
夢野久作 「少女地獄」
...貞淑な王妃を除いた他の殉死者の悲痛な叫喚は...
横光利一 「日輪」
...実際またこの日の夫人は貞淑な夫人に見えた...
和辻哲郎 「漱石の人物」
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