...豊かなものと考えている若い諸君がいるかも知れないが...
大隈重信 「明治文明史上に於ける福沢翁」
...肌襦袢の蔭に包まれている豊かな肩のふくらみが見えた...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...彼の眼が、小柄で華奢な美しい姿や、豊かな金髪や、尋ねるような眼付をして彼自身の眼とぴたりと会った一双の碧い眼や、眉を上げたり顰(ひそ)めたりして、当惑の表情とも、不審の表情とも、恐怖の表情とも、それとも単に怜悧な熱心な注意の表情ともつかぬ、しかしその四つの表情を皆含んでいる一種の表情をする奇妙な能力(いかにも若々しくて滑(なめら)かな額(ひたい)であることを心に留めてのことであるが)を持つ額などに止(とど)まった時――彼の眼がそれらのものに止まった時に、突然、ある面影がまざまざと彼の前に浮んだ...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...つまり豊かなる自然――なぜなら...
豊島与志雄 「風景」
...大島氏は果して約束の如く此度は新たに地方色豊かなモンペ二着を小包郵便を以て送り来された...
中里介山 「百姓弥之助の話」
...苟(いやしく)も精神的要求の豊かな人が自分を無良心だと思はずに...
長與善郎 「青銅の基督」
...もっと豊かな住居街で使い古した蓄音器が...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「審判」
...「これ誰のために……?」と豊かな微笑の中で訊ねて他の部屋のよりも稍大型の村瀬のダイアルを指差した...
牧野信一 「女に臆病な男」
...好き意味での豊かなねばりに富んで...
牧野信一 「浪曼的月評」
...彼は普通の人より広く豊かな思想をいだいておりましたので...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...全体に佐渡はまだ草の豊かな島だから...
柳田国男 「雪国の春」
...それを中心に広い豊かな米作地がひらけている...
山本周五郎 「いさましい話」
...その豊かな乳房に手を触れている万三郎...
山本周五郎 「風流太平記」
...平かな豊かなるこの海に向へば懐しさが湧いて...
吉江喬松 「伊良湖の旅」
...しかしその豊かな才も...
吉川英治 「三国志」
...みかどの豊かなおん横顔や笛の手に重なって見えるように思われた...
吉川英治 「私本太平記」
...命豊かな民でのうては...
吉川英治 「新書太閤記」
...豊かな象徴的表現を与えることはできる...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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