...豊かな胴へ秋草の模様をほんのりと明(あかる)く浮かせた向うに...
芥川龍之介 「妖婆」
...従って悲劇詩人(哲学者式概念劇もこの系統にぞくする――プラトンの対話篇)の得意な「詩」の形式には這入り切らない程に豊かな真理が含まれてもいるのである...
戸坂潤 「思想としての文学」
...心持ち太い小さな鼻、心持太い小さな口、ふっくらした小さな頤(あご)、細やかな眉毛(まゆげ)、清らかな眼、豊かな金髪...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...豊かな光には何となく人の心を安らかならしむるものがあった...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...その経済的に豊かなことは息子の服装からでも分った...
中島敦 「虎狩」
...胸を過ぎてより豊かなる襞(ひだ)を描がいて...
夏目漱石 「薤露行」
...めまぐるしい騒音よみな去れつ!生長のない廃屋を囲む樹を縫つて蒼馬と遊ぼうか!豊かなノスタルヂヤの中に馬鹿! 馬鹿! 馬鹿!私は留置場の窓に遠い厩の匂ひをかいだ...
林芙美子 「蒼馬を見たり」
...もっと豊かなものが妻の眸のなかに笑いながら溢(あふ)れていた...
原民喜 「苦しく美しき夏」
...豊かな気持である...
北條民雄 「道化芝居」
...さつきの娘が豊かな微笑を湛へて...
牧野信一 「階段」
...争ふても結局何うすることも出来ない友と友との間の吉井氏が扱ふ詩情豊かな寂光土に僕は十年一日の如く甘美な酒の陶酔感を得る...
牧野信一 「なつかしき挿話」
...獲物なんぞは如何でも好い――わけもなく豊かな呑気な気分にもなつてしまつた...
牧野信一 「雪景色」
...芸術趣味の豊かな日本の国にふさわしいことであった...
三上義夫 「和算の社会的・芸術的特性について」
...この最初の豊かな源泉の中に...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...自然から贈られたあれ程の豊かな恵みに対して...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...みずから変化の豊かなる世相描写を制限することになったが...
柳田国男 「木綿以前の事」
...魏軍の豊かな装備や馬匹武具などの戦利品も多く獲(え)た...
吉川英治 「三国志」
...所々に非常に豊かな農耕地を見せるようになった...
和辻哲郎 「鎖国」
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