...何か急に妹との間に谷あいの出来たことを感ずるのだった...
芥川龍之介 「春」
...消防自動車が高いビルの消火のときにつかう長い梯子(はしご)をまっすぐ上にのばし、その上から探照灯でもって、エフ氏の逃げこんだ谷あいを照らしていたが、その明るい光は、一本や二本でなく、方々から同じところに集められているので、谷あいは、真昼のような明るさである...
海野十三 「人造人間エフ氏」
...「どうしました、人造人間は?」と、帆村が一人の警官にきけば、「人造人間は、あの大きな木が倒れているあたりから、地中へもぐりこんだきり、なかなか出てこないのだ」そのとき、その谷あいが、轟然(ごうぜん)たる一大音響とともに爆発した...
海野十三 「人造人間エフ氏」
...しかし森や牧草地や沼沢のすべての谷あいや池の隈にゆたかでとりどりな実りがあるのだが...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...わたしは今南北の山が屏風(びょうぶ)のように空をかぎっている谷あいの鍋(なべ)の底のような地点に立っている...
谷崎潤一郎 「蘆刈」
...静かな谷あいいっぱいに谺を響かせたため...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「緋のエチュード」
...谷あい深くのた打っていたが...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...松薪と石炭の間に出来てる谷あいを通り抜けて左へ廻って...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...そんな大きな枯葉の目に立つほど溜(たま)っているような谷あいそのものも...
堀辰雄 「朴の咲く頃」
...谷あいにある温泉場で...
山本周五郎 「契りきぬ」
...――甚次郎(山)の東側の谷あいにある猟小屋で...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...「西の谷あいは広い...
吉川英治 「三国志」
...山のような土を谷あいに運び出していますゆえ...
吉川英治 「私本太平記」
...村々の谷あいに長い空壕(からぼり)を鑿(うが)ち...
吉川英治 「新書太閤記」
...谷あいを駈け渡り...
吉川英治 「新書太閤記」
...この谷あいから一目見て...
吉川英治 「新書太閤記」
...捏山(ねじやま)の谷あいをネジ登り始めたが...
吉川英治 「随筆 新平家」
...谷あいの闇は、だいぶ濃い...
吉川英治 「源頼朝」
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