...私の誇りは、その反面に羞恥に似た一種の感情に裏打せられることを、如何ともすることが出来なかつた...
阿部次郎 「帰来」
...模倣を嫌惡する強烈な意識と獨創を誇りとする勇猛な自覺の下になされた行動の中にも猶模倣の事實がある...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...誇りとの凡てを捨てて私に立ち帰れ...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...あらゆる意味に於いて我々の誇りとすべき事ぢやないね...
石川啄木 「我等の一團と彼」
...悲哀(かなしび)は一(いち)の誇りなれば...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...僕にはマア坊のあわれな誇りをいたわらなければならぬ義務がある...
太宰治 「パンドラの匣」
...そもそもその誇りなるものが怪しいと言わざるを得ない...
アントン・チェーホフ 神西清訳 「桜の園」
...藏書家は互に珍本を獲たことを誇り...
内藤湖南 「支那目録學」
...この国で並ぶものなき家柄に誇り得るのは...
中里介山 「大菩薩峠」
...それは幾十年という長い年月をこの山里に生いたった者の淡い誇りでもあり...
中島哀浪 「かき・みかん・かに」
...」衷氏が歿(な)くなった時のお通夜や、仏事の日などは、ありとある部屋に、幾組といってよいかわからぬほどのお客をして接待した欣々女史、その新盆(にいぼん)には、おびただしい数の盆燈籠(ぼんどうろう)を諸方から手向(たむ)けられたのを家中の軒さきから廊下から室内(へやのなか)の天井へずっとかけつらねさせたという、豪華なことのすきな彼女が、練馬の新築の家では、夜になるとピンピン、キシキシと、木材のひわれる音に神経を悩まして、いやだというように弱くなってしまったとは、美貌の誇りと、栄華の夢のさめぎわの、どんなにさびしいものかという底に、それよりほかの根はなんにもないであろうか? あたしは否(いいえ)といいたい...
長谷川時雨 「江木欣々女史」
...さしもに誇りを持った横浜の土地から...
長谷川時雨 「明治美人伝」
...メアリはランプの明かりを浴びて、誇り高く、凜と立っている...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「煉獄」
...やや精徴を誇りうるのは舌と鼻とだが...
柳田国男 「雪国の春」
...それがなによりも誇りがましい任務だったろう...
山本周五郎 「青べか物語」
...――スフィンクスが終極の目標を示さないために――そうしてすべてにこの自覚の誇りを宣伝すべく...
夢野久作 「鼻の表現」
...誇りやかに十字架を輝かせた図の多いのに不快を感じ...
横光利一 「旅愁」
...勝ち戦の報を聞いて誇りぬいていた城兵は...
吉川英治 「三国志」
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