...中村屋に女子を使わぬわけ本郷から新宿に支店を設けた頃のことでした...
相馬愛蔵、相馬黒光 「一商人として」
...文太郎も春三郎も照ちやんの勇ましい答を待設けて居た...
高濱虚子 「續俳諧師」
...翌日になると洞庭君は凝碧宮に饗宴を設けて御馳走をした...
田中貢太郎 「柳毅伝」
...石器時代の土偶中には男子を摸せしと思はるる者も有れど髯の形を作り設けしものは未だ見ず...
坪井正五郎 「コロボックル風俗考」
...官庁内の一部に設けられた研究室の中で仕事をしている科学者は最も不自由な環境に置かれている...
寺田寅彦 「学問の自由」
...また近頃エールシャイアのある地に航空隊の練習場を設けかかった...
寺田寅彦 「戦争と気象学」
...その外郭に更に緩衝地区を設けたわけである...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...横浜にビールの醸造所を設けたくらいですから...
中里介山 「大菩薩峠」
...彼等はそういう縄張を設け...
中島敦 「光と風と夢」
...特に先ず須要(しゅよう)にして急務となすものは、観測所改造の挙に在(あ)り、これをして完全ならしめざれば常に天候に妨げられ、到底力を目的の業務に専(もっぱ)らにすること能わず、随て満足なる観測の結果を得んこと望むべからず、故に完全なる家屋改造のことは、実にこの事業の根底なりとす、然るに先年は諸事完備を欠くこと多かりしにもかかわらず、寒中殆んどその半ば滞在し得たるのみならず、図らずも婦女子の弱体すらなおこれに堪(た)え得たる有様なるを以て、今(いま)もし前途の施設を完備せんには、常住観測の決して至難の業にあらざるは予の確信する所なり、しこうして、その家屋構造の如きは、予大に経験し得たる所あり、依てここに新たに計画を立て、在来の観測所に比すれば総てその規摸を拡張し、先ず室内に運動所を設け、かつ経験上得たる所により、寒中出入の便を図り、総て構造を精密にして、固く寒風と氷雪との浸入を防ぎ、浴室を設け、また採暖法を攻究し、通信の道を開き、また少なくとも三名以上の技手滞在し、山麓及び七合目に寒中これら技手を交代させ、時の避難所を設け、あるいは夏期中より引続き滞岳して身体を山頂の風土に馴(な)らし、以て病を未然に防ぎて、身体の安固(あんこ)を図り、あるいは測器の故障を防ぐの法を立つる等、その他経験し得たる所により、それぞれ防禦(ぼうぎょ)の策を講じ、以て安全の道を図らんと欲し、下山後苦心経営すること一日に非ずといえども、在来の観測所に比すれば、規摸迥(はる)かに宏大を要するが故に、その改築費及び将来の維持費の如き、一私(し)の資力を以てせんこと容易に非ず、則(すなわ)ち前に掲げたるが如く今回富士観象会なるものを組織して弘く天下に向て賛助を乞うに至れり、富士観象会の目的並(ならび)にその事務の大要は載(の)せて前段の主趣并(ならび)に規則書等に詳(つまびら)かなり...
野中到 「寒中滞岳記」
...露国は種々の口実を設けて...
日野強 「新疆所感」
...直接な方程式が設けられてゐる...
平林初之輔 「文学方法論」
...口実を設けて体よく小狐(おぎつね)の家(うち)を出て下宿して了った...
二葉亭四迷 「平凡」
...明治十六年から大学法学部に別課なるものを設けて...
穂積陳重 「法窓夜話」
...そして Chelonopsis moschataMiq. の新学名を設けた...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...何か新たなる呼び名を設けて...
柳田国男 「海上の道」
...庭の一部には鞠(まり)場が設けてあった...
山本周五郎 「風流太平記」
...鄙(ひな)びた別宴を設けさせた...
吉川英治 「新・水滸伝」
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