...おぬしの樣な人を吾物に仕樣などいふ出過ぎた心はない……など云はれた事も矢張り強く手古奈が記臆に殘つてゐる...
伊藤左千夫 「古代之少女」
...今は一々(いちいち)記臆(きおく)に存していないのが甚(はなは)だ遺憾である...
岩村透 「不吉の音と学士会院の鐘」
...まだ記臆(きおく)には新しい方だ...
岩村透 「不吉の音と学士会院の鐘」
...揺籃(えうらん)の記臆(きおく)(ねんねしなされ...
竹久夢二 「桜さく島」
...もし彼が独りであつたら、記臆に蓄へるか、それとも帰つてからノートに取るなりする所だ...
中原中也 「心理的と個性的」
...なにさま記臆のない時のことであるから...
中原中也 「一つの境涯」
...二人(ふたり)は今も此事をよく記臆してゐた...
夏目漱石 「それから」
...宗教(しゆうけう)と關聯(くわんれん)して宗助(そうすけ)は坐禪(ざぜん)といふ記臆(きおく)を呼(よ)び起(おこ)した...
夏目漱石 「門」
...悔しそうな顔もしなかッた……平気で人の顔を視ていた……」「しかも立際に一所に成ッて高笑いをした」ト無慈悲な記臆が用捨なく言足(いいたし)をした...
二葉亭四迷 「浮雲」
...全然私の記臆にない...
水野仙子 「白い雌鷄の行方」
...私はこの白い美しい雌鷄についても言ひたい……鋭い猫の牙に咽喉笛を切られた茶色の雌鷄の記臆は...
水野仙子 「白い雌鷄の行方」
...我儘ばかりしてゐた昔の苦しい記臆をのみのこして...
水野仙子 「響」
...小兒食へば記臆力を損ずとて...
南方熊楠 「鹽に關する迷信」
...必ず記臆違ひなく...
南方熊楠 「蓮の花開く音を聽く事」
...爰には非雲が新夫に抗して髮亂れたとしたらしいが、外骨氏説に、本邦古畫に亂髮の女が露身せるは、之を下敷きにして行ふた體多しと、有たと記臆す...
南方熊楠 「蓮の花開く音を聽く事」
...其談話は一に記臆より出し故に...
南方熊楠 「秘魯國に漂著せる日本人」
...おのれ奮ひて持藥なる教育の道の用ゐ難きに當りたるを記臆しおかむのみ...
森鴎外 「柵草紙の山房論文」
...しかし前日の母の教へを記臆(きおく)して居り升(まし)たから...
若松賤子 「黄金機会」
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