...綿を薄く入れた夏ぶとんの畳に触れるささやかな音を見入りでもするようにそのほうに目を定めた...
有島武郎 「或る女」
...触れるばかりにのそりのそりと自分のそばを通って行く冷やかな頑丈な男はいったい誰であろうかと...
レオニード・ニコラエヴィッチ・アンドレーエフ 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...ことに世界の文明に触れて僅(わず)か半世紀しか経たぬところの...
大隈重信 「平和事業の将来」
...折に触れてのさま/″\な遊戯や催しなども...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...此方がそう云う質問をするのに先方からは蒔岡家のことにも雪子のことにも一向触れてくれないので...
谷崎潤一郎 「細雪」
...最後に二つのものの区別に触れる処の法則を見ておこう...
戸坂潤 「思想としての文学」
...それが現実の生活に触れる限り...
戸坂潤 「『唯研ニュース』」
...髪と日光(ひ)の触れ合う境のところが菫色(すみれいろ)に燃えて...
夏目漱石 「三四郎」
...戸口を出る拍子(ひょうし)に互いの肩が触れた...
夏目漱石 「三四郎」
...もし私の方で申す人生に触れるという意味が御承知になりたければ今じきに明暸なる御答えを仕(つかまつ)ってもよろしいが...
夏目漱石 「文芸の哲学的基礎」
...僕も要らないんだ」兄は紅白の糸に手も触れなかった...
夏目漱石 「道草」
...暖かな息が微かに頬に触れ...
二葉亭四迷 「平凡」
...先方がそれに触れても...
牧逸馬 「戦雲を駆る女怪」
...手で触れずに蛇を引き出し払い去る(一九一五年版エントホヴェンの『コンカン民俗記』七七頁)...
南方熊楠 「十二支考」
...殻の中へいくらかずつ白みが残っていますから空気に触れないようにしておくと固まりません...
村井弦斎 「食道楽」
...校長先生のお手がちょっと私に触れましただけで...
夢野久作 「少女地獄」
...この陣布令(じんぶれ)は、洛中に散在している諸武家の屯(たむろ)へ、触れ廻され、戞々(かつかつ)の駒音が、夜どおし、都大路に鳴っていた...
吉川英治 「私本太平記」
...なまじお供はせぬがよい」表御門でも彼はおなじことを触れ...
吉川英治 「私本太平記」
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