...親身の情……これが無銭(ただ)である...
泉鏡花 「薄紅梅」
...よ、糸的(こう)、いい名だなあ、従兄弟(いとこ)に聞えて、親身のようだ...
泉鏡花 「薄紅梅」
...親身の者同士のように...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「犬を連れた奥さん」
...客あしらいのいい親身のこもった伯爵は...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「接吻」
...百姓の娘にしてあれだからのう」「百姓の娘だけに、うぶなところと、親身のところが、親玉のお気に召したというのだなあ」「いいや、お蘭も、百姓の娘たあいうけど、てとりものじゃ、商売人にも負けねえということじゃて」「親玉をうまくまるめ込んでいることじゃろうがのう」「親玉ばかりじゃありゃせん、その道ではお蘭も、なかなかの好(す)き者(もの)でのう」「はあて」「お蘭もあれで、親玉に負けない好き者じゃでのう、お蘭の手にかかった男もたんとあるとやら、まあ、男たらしの淫婦じゃてのう」「親玉のお手がついてからでもか」「うむうむ、かえってそれをいいことにしてのう、今までのように土臭い若衆なんぞは、てんで相手にせず、中小姓(ちゅうこしょう)じゃの、用人じゃの、お出入りのさむらい衆じゃの、気のありそうなのは、まんべんなく手を出したり、足を出したりするそうじゃてのう」「はて、さて、そりゃまた一騒ぎあらんことかい」「どうれ」「どっこい」「もう一廻り、見て、お開きと致そうかいなあ」「そうじゃ、そうじゃ」「どうれ」「どっこい」こう言って、彼等は、煙草の吸殻を踏み消し、御用提灯を取り上げて、背のびをしたり、欠伸(あくび)をしたりしながら立ち上る...
中里介山 「大菩薩峠」
...もう他人でないような親身の思いに迫られて来るのです...
中里介山 「大菩薩峠」
...親身の親からさえも...
夏目漱石 「行人」
...親身のように思っている捕物の名人銭形の平次に...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...私の親身の叔母で...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...この間(かん)に母の亡くなつた知らせを受け取つたが、母の親身の妹で、彼の幼年時代に乾梨(ほしなし)や、非常に美味しい薬味麺麭などを持つて来たり、わざわざガデャーチへ送つて呉れたりまでしたので僅かに憶えてゐる叔母(この叔母は、母と仲違ひをしてゐたので、その後、イワン・フョードロッチは絶えて久しく会はなかつたが)――この叔母が、もちまへの親切気から、彼の小さい持村の管理を引き受けたといふことを、事の序でに手紙で彼の許へいつてよこした...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...親身のお父さんでさへ...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...親身の娘といふ鎖が切れて...
水野仙子 「四十餘日」
...親身の娘の病気となると...
宮本百合子 「栄蔵の死」
...親身の兄弟までが監に反対すると言って...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...私が親身の力をお貸ししますよ...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...親身の妹同様に可愛がって頂きました...
夢野久作 「少女地獄」
...親身の親でもなければ...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...母が慕う親身の人と覚えていたぼくは...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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