...彼女は実に去年の嘘をも五分前の嘘のやうに覚えてゐた...
芥川龍之介 「侏儒の言葉」
...いや、先生はね、お前たちも知っているように、唱歌はあまり得意でないのでね、その歌も、うろ覚えでね、おかげで、やっといまはっきりと思い出した...
太宰治 「春の枯葉」
...失望といわんか嫌厭(けんえん)と名づけんか自ら分(わか)つあたわざるある一念の心底に生(は)え出(い)でたるを覚えつ...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...私は全身が真赤になるほどの羞恥を覚えた...
外村繁 「澪標」
...ブラウンの足音を、彼は覚えた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...私は何となく一種の郷里へ戻ったような安易さを覚えた...
豊島与志雄 「上海の渋面」
...彼はその激情が心の中から消えてゆくのを覚えた...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...小日向(こびなた)水道町(すいどうちょう)……覚えているでしょう...
永井荷風 「ひかげの花」
...弟の源七に金を渡したと云うことまで覚えて居ます...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...いうべからざる嫌悪を覚えた...
北條民雄 「いのちの初夜」
...どこにいたのよ」「よく覚えていない...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「くちなしの花」
...もし少しにても強くあたる時は覚えず死声を出して叫ぶなり...
正岡子規 「明治卅三年十月十五日記事」
...僕は覚えず慄然(りつぜん)とした...
森鴎外 「ヰタ・セクスアリス」
...市はそれだけしか覚えていないし...
山本周五郎 「ちいさこべ」
...花子の歌四章(童謡)九官鳥九官鳥はいつの間(ま)に誰(だれ)が教へて覚えたか...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...こんなことは遊女の鳰にはたくさんな覚えがある...
吉川英治 「私本太平記」
...春なく秋なく日数で覚えているきりだった...
吉川英治 「茶漬三略」
...私は腕に覚えがある...
ルナール Jules Renard 岸田国士訳 「博物誌」
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