...そうそう私(わたくし)が現世(げんせ)の見納(みおさ)めに若月(わかつき)を庭前(にわさき)へ曳(ひ)かせた時(とき)...
浅野和三郎 「霊界通信 小桜姫物語」
...一種のなつかしみを持つ横浜の市街を見納めにながめようとせず...
有島武郎 「或る女」
...見納め、まさか、でも、それに似た気持もあるようだ...
太宰治 「新郎」
...これが今生(こんじょう)の見納め...
太宰治 「二十世紀旗手」
...兄との一生の見納めだと思った...
直木三十五 「南国太平記」
...一人が「師匠、首でも、縊(くく)るのかい? この世の名残って――」南玉は、湯を呑みながら、御叩頭をして「ただ今、その訳を――」そうして、湯呑を置いて、張扇で、ぽんと一つ、見台を叩いて「さて、かようの晩の御入来、一方ならぬ御贔屓のせいと、ひたすらに、専(もっぱ)ら、感涙に咽び泣いております――ええ、そもそも、南玉、一世一代、これが見納め、聞き納め、笑い納めの、泣き納め、たんだ、納まらないのは、胸の内――」ぽんと、自分の胸を叩いた...
直木三十五 「南国太平記」
...「これ、お梅」藤堂平助は慄(ふる)えていたお梅の襟髪(えりがみ)を取って、「よく見ておけ、これが見納めだ、貴様の可愛ゆい殿御(とのご)の最期(さいご)のざまはこれだ」「どうぞお免(ゆる)し下さい」「しかし美(い)い女だな」「芹沢が迷うだけのものはある」藤堂と沖田とは面(かお)を見合せて、土方と近藤との方に眼を向ける...
中里介山 「大菩薩峠」
...これが江戸の見納めという意味にはならないが...
中里介山 「大菩薩峠」
...これがパリの見納めかと思ふと...
野上豐一郎 「大戰脱出記」
...お互の顏の見納めに灯を入れて見ようぢやないか」さう言ひながら音次郎は...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...うしろに切火(きりび)打かくる女房の顔もこれが見納めか十人ぎりの側杖(そばづえ)無理情死(しんぢう)のしそこね...
樋口一葉 「たけくらべ」
...「最後だ、見納めだぞ、シャンティン...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「道化玉座」
...これが見納めです...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「謎の四つ指」
...わたしはあのときこれが見納(みおさ)めだと思ったその場所から...
マロ Malot 楠山正雄訳 「家なき子」
...これが見納めになるかも知れんぜ...
三好十郎 「好日」
...吾輩は娑婆(しゃば)の見納めのつもりで或夕方のこと...
夢野久作 「超人鬚野博士」
...そしてみな顔は、多門の上なる主人のすがたを仰いで、今を見納めぞと、しばしは同じ声のみを繰り返していた...
吉川英治 「新書太閤記」
...それがあんたの夢の見納めだろう」「なるほど...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「ぶどう畑のぶどう作り」
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