...この十五坪住宅の主人が夜厠(かわや)の窓から何気(なにげ)なく外を見たところ...
海野十三 「鞄らしくない鞄」
...見たところ君の身体にはさしたる重大な異状を発見しない...
海野十三 「三人の双生児」
...見たところ寒天のようなものを盛った鯨鍋が運ばれた...
高見順 「如何なる星の下に」
...」と言うのだが、見たところ、どうしてなかなか子供ではない...
太宰治 「新釈諸国噺」
...一番兄のペータアが見たところ十か十一...
谷崎潤一郎 「細雪」
...虎が鰐をねじっているのか見たところではどっちだかわからない...
寺田寅彦 「映画「マルガ」に現われた動物の闘争」
...打ち見たところ、彼に對して極度の輕蔑的な態度をとることを、自分の義務とでも心得ているらしい...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...それほど彼女はこの老婆の絶え間のない小言や移り気に耐えてゆくのがつらかったのであるが、その実、この老婆は、見たところ、別に意地の悪そうなところもなく、ただ、安逸な生活のために、どうにも我慢のならない強情な人間になっていたのであった...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...一体このオペラ館のみならず、この土地の興行場へ出入をする食物屋(たべものや)には、その種類によつてそれ/″\顔のきいた親分のやうなものがあつて、営業権を占有してゐるといふ事なので、見たところ、この爺さんにはまだそんな権利がありさうにも思はれないとすると、この年になつても、どこぞの親分に使はれてゐる其日ぐらしの出前持に過ぎないのであらう...
永井荷風 「勲章」
...見たところ餓鬼(がき)のようでもあるし...
中里介山 「大菩薩峠」
...馬に乗っているというよりは、見たところ、むりやりに馬へ掻(か)きのせられて、それを取捲く群集が、山車(だし)の人形のように守り立てて、山の上まで持って行こうという勢いですから、小坊主は騎虎の勢いで下りるにも下りられず、言いわけをしても、この騒ぎで聞き入れられず、ぜひなく多数に擁(よう)せられて、行くところまで行こうという気になっているもののようです...
中里介山 「大菩薩峠」
...見たところ、田山白雲も、主人役の駒井甚三郎までも、ほとんどここでは、主客の隔てがないらしい...
中里介山 「大菩薩峠」
...庭は苔(こけ)が一ぱいだが、五六遍も歩くと跡が付く」「――」「主人の五左衞門が死んで一番損をする奴は誰だ――一番儲(まう)かるのは、五左衞門には子が無いから、山名屋の跡を繼(つ)ぐ宗次郎だらうが、その宗次郎に疑ひをかけるやうに仕向けたのは、一寸見たところ、五左衞門が死んで一番損をするやうな人間に違ひない」「――」次第に疑問を疊み上げて、下手人の影法師に生命を附與(ふよ)して行く親分の強大な想像力(イマジネーシヨン)に、ガラツ八は呆氣にとられて聽入るばかりでした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...年は見たところ三十にも見えるんだが...
葉山嘉樹 「海に生くる人々」
...師匠菊之丞の得意は勿論(もちろん)、最初は、――何しろ上方の、それも緞帳(どんちょう)から成り上った器用役者、あざとくって、けれん沢山で見ちゃあいられねえ――とか、――ま、見たところは、美しいですが、とんと場違いで、近海の鯛(たい)に馴れた舌には、ちと頂けませんな...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...これまで色々な人に触れて見たところが...
森鴎外 「ヰタ・セクスアリス」
...見たところは、スコーネのほかの高地(こうち)とまったく同じです...
セルマ・ラーゲルレーヴ Selma Lagerlof 矢崎源九郎訳 「ニールスのふしぎな旅」
...「風采(ふうさい)を見たところでは...
吉川英治 「新書太閤記」
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