...自己の眞相を覆ふ霧のやうに湧いて來ないとは限らないのである...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...『あの音をよく響ける金属で覆ふた円天井を大きな鉄の球をころがすので出る音だと思つてゐました...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...字句の間を覆ふて...
伊藤野枝 「乞食の名誉」
...全世界を覆ふものであるとすれば...
伊藤野枝 「嫁泥棒譚」
...まどかに覆ふ秋の天...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...窓を覆ふやうに拡がつて...
牧野信一 「明るく・暗く」
...空を覆ふた藤棚の下に眺める彼女が幻灯の中のものゝやうに見えるのであつた...
牧野信一 「天狗洞食客記」
...――ところが余り寒いのでついペンをとる筈の指先は火鉢の上を覆ふやうになつてしまふのでありました...
牧野信一 「嘆きの孔雀」
...虚栄心でそれを覆ふやうに軽く不思議な微笑を湛へた...
牧野信一 「白明」
...顔を両手で覆ふやいなや...
牧野信一 「露路の友」
...キンクチリウス二人を埋め大石を覆ふた...
南方熊楠 「人柱の話」
...その目は赤らんで何かしら鱗のやうな怒りが全面を覆ふてゐるのを見た...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
...白雪巓(いたゞき)を覆ふ...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...辱知 江東生夕の光堤にもえし陽炎(かげろふ)は草の奈邊(いづこ)に匿(かく)れけむ緑は空の名と爲りて雲こそ西に日を藏(つゝ)めさゝべり淡き富士が根は百里(ひやくり)の風に隔てられ麓に靡く秋篠の中に暮れ行く葦穗山雨雲覆ふ塔(あらゝぎ)に懸れる虹の橋ならで七篠(なゝすぢ)の光...
横瀬夜雨 「花守」
...終(しま)ひには両手で顔を覆ふてしまつた...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...その窓を覆ふ毛氈は縄に由つて外から開閉する仕掛である...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...默々として谿を卷き林を覆ふて浮動してゐる霧の姿...
吉江喬松 「山岳美觀」
...初めは徐々として遠山を覆ふやうにして擴がつて來たかと思つてゐると...
吉江喬松 「山岳美觀」
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