...僕の脳髄(なうずゐ)の襞(ひだ)ごとに虱(しらみ)がたかつてゐるやうな気がして来るのです...
芥川龍之介 「囈語」
...我が今友に對して展(の)べ開くことを敢てせざる心の襞(ひだ)はこれ一つのみなりき...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...その下に緑色のドレスがふっくらした襞績目(ひだめ)をつくって...
海野十三 「深夜の市長」
...その襞(ひだ)の中腹にこの道路(みち)の延長があるのか...
大阪圭吉 「白妖」
...生水・ENOの果実塩・亜米利加(アメリカ)産肉豆(にくずく)・芽玉菜(めたまな)だけの食養生を厳守することによって辛うじて絵具付(ペインテド)シフォンの襞(ひだ)着物を着れる程度に肥満を食いとめている...
谷譲次 「踊る地平線」
...彼の眼の前二三尺の所に堆(うずだか)い襞(ひだ)を盛り上げて重々しくひろがっていた裲襠(うちかけ)の裾(すそ)が...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...又一所にかたまつて遠くの山襞(やまひだ)にうすく匍ひ上る青い一条の煙(それは炭焼の煙だつた)に驚きの眼を見はつた...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...縦に深く襞(ひだ)のはいったのがある...
寺田寅彦 「自然界の縞模様」
...岩石に関してはまだ皺襞(しゅうへき)や裂罅(れっか)の週期性が重要な問題になるが...
寺田寅彦 「自然界の縞模様」
...あらゆる襞(ひだ)で抱きしめる...
ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 「死刑囚最後の日」
...裳(も)の襞(ひだ)が高くまくられているので...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...恐らくは前世紀末に宣教師や尼さんが伝えたに違いない・旧式の・すこぶる襞(ひだ)の多いスカートの長い・贅沢(ぜいたく)な洋装である...
中島敦 「環礁」
...襞もない亜麻の敷布が繋がれて...
逸見猶吉 「逸見猶吉詩集」
...外套の襞からは焦げ臭い匂ひが立つ程だ...
堀辰雄 「ゲエテの「冬のハルツに旅す」」
...前と背ろに襞が取ってあって...
牧逸馬 「土から手が」
...小高など区別して襞のある糊入の紙を聯想するが...
柳宗悦 「和紙十年」
...襞(ひだ)のある桃色の裳袴(もばかま)には銀モールの縁繍(ふちぬ)いが取ってあり...
吉川英治 「新・水滸伝」
...京都の西北の郊外を囲っている山々の襞(ひだ)をなしている残雪だった...
吉川英治 「宮本武蔵」
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