...三造はその中古(ちゅうぶる)になった袴の襞(ひだ)の具合に見覚えがあった...
田中貢太郎 「雨夜草紙」
...彼の眼の前二三尺の所に堆(うずだか)い襞(ひだ)を盛り上げて重々しくひろがっていた裲襠(うちかけ)の裾(すそ)が...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...複雑した影を襞(ひだ)ごとにつくつた...
田山花袋 「父の墓」
...おれが心の襞(ひだ)の一つ一つ...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...その重い襞(ひだ)の中に生者をも死者をも包み込んだ...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...アンジョーラは未来の暗黒な襞(ひだ)の下に光明が立ち上りかけてるのを瞥見(べっけん)した...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...一襞(ひとひだ)になって...
夏目漱石 「永日小品」
...袴の襞(ひだ)を正しく...
夏目漱石 「三四郎」
...襞(ひだ)を取った紺綾(こんあや)の長いマントをすぽりと被(かぶ)って...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...ギザギザの尾根がいくつか重なった山襞のむこうに...
久生十蘭 「新西遊記」
...潜水着の至るところには大きな襞(ひだ)が作られ...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...深紅(しんく)の窓掛(カアテン)の襞(ひだ)が私の視野(しや)を遮り...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...襞もない亜麻の敷布が繋がれて...
逸見猶吉 「逸見猶吉詩集」
...それからもう霞(かす)みながらよく見えなくなり出した丘々(おかおか)の襞(ひだ)...
堀辰雄 「美しい村」
...姫は水いろぎぬの裳(も)のけだかきおお襞(ひだ)の...
森鴎外 「文づかい」
...衣の襞(ひだ)に至るまで...
柳宗悦 「民藝四十年」
...その言葉つき……その態度……その着物のなよやかな襞(ひだ)までも...
夢野久作 「暗黒公使」
...襞(ひだ)と云ふ襞(ひだ)を白く曵(ひ)いたアルプス連山の姿は予(かね)て想像して居た様な雄大な趣(おもむき)で無く...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
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