...裾の界(さかひ)の線(すぢ)黒み...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...「列車が裾野駅近くを通過している際デッキに立っていた外国帰りらしい美しい夫人が『電報を打って頂きたいのですが』と云って電報用紙を私に渡し...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「機密の魅惑」
...蒼穹のように澄み切った眸(ひとみ)! 雪白の綾羅(うすもの)の裳裾(もすそ)長く地に曳きながら...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...・あぶらむしおまへのひげものびてゐるあかつきのあかりで死んでゆく虫で・水音のしんじつ落ちついてきたもうはれて葉からこぼれる月のさやけさ柿がうれてたれて朝をむかへてゐる□・露も落葉もみんな掃きよせる・秋の朝の土へうちこみうちこむ・朝の秋風をふきぬけさせてをく・秋空の電線のもつれをなをさうとする・枇杷から柿へ、けさの蜘蝶の囲はそのまゝに浜納豆到来、裾分して秋空、はる/″\おくられて来た納豆です酒壺洞君からやうやく手紙が来た、無論、よいたよりだつたが、君の身辺に或る事件が起つて、それがためにこんなにおくれたと知つては、ほんとうに気の毒である、才人酒壺洞君にもさうした過失(勿論それは君自身の犯したものではないけれど)があるとは、まことに世の中は思ふまゝにはならぬものだと、改めて教へられた...
種田山頭火 「其中日記」
...靴に附いた※(ふさ)は、弁髪や、上衣の裾や、頭の髪と同じように逆立っていた...
ディッケンス Dickens 森田草平訳 「クリスマス・カロル」
...その裾を引っ張った...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...安心してよろしゅうござりましょう」と、いって、話が終ると「そこな女中、この美少年が、お主(のし)に惚れて、今夜、泊るとよう」「ああれ、また、(うそ)ばっかり――」八郎太が、苦笑して「益満」「あははは、では、拙者は、これにて――小太、上方で、逢おう」「うむ」「どうれ、雨の夜、でも踊るか」と、いって、益満は、裾を端折った...
直木三十五 「南国太平記」
...皆の裾を吹いて行く...
林芙美子 「風琴と魚の町」
...そのかはり山裾の道に添って...
原民喜 「三人」
...いい加減にしておけ」ベッドの裾に腰をおろしながら...
久生十蘭 「あなたも私も」
...寝皺の寄った上衣の裾を引っ張り...
久生十蘭 「魔都」
...ひらりと白い空間を扇いだ彼女の裾が強く私の眼にしみついた...
北條民雄 「青春の天刑病者達」
...二階の最前の部屋へ入ってペタンと坐り、傍らへ手燭を置いたとたん、裾風でだろうか、音もなく灯は消えてしまった...
正岡容 「小説 圓朝」
...裾通り雁木の柵の頭を見せ...
正岡容 「山の手歳事記」
...または山の裾が幾重も重(かさな)って屈曲して入込んでいるのをいうのか...
柳田国男 「峠に関する二、三の考察」
...わざわざ富士(ふじ)の裾野(すその)から討たれにきたか」内心...
吉川英治 「神州天馬侠」
...裾野の広さを吾がもの顔に駈け廻り駈け廻り...
吉川英治 「新書太閤記」
...見れば汽車の停ったあとの線路の中を一人の女が裾もあらわに馳けて来るのであった...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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