...それを薄寒そうに裾(すそ)短に着ていた...
有島武郎 「卑怯者」
...富士の裾野(すその)に煙突(えんとつ)があるように...
泉鏡花 「縁結び」
...さまでの眺望は無き高原より山の裾へかけて...
大町桂月 「碓氷峠」
...裾野つきて、四五町ばかり坂を上る...
大町桂月 「妙義山の五日」
...その裾(すそ)を一際近くこちらに曳(ひ)いている...
橘外男 「墓が呼んでいる」
...電気局でも宇田川橋の裾(すそ)に無縁塔を建立(こんりゅう)するのだと云っていた処であった...
田中貢太郎 「雪の夜の怪」
...がコゼットはただジャン・ヴァルジャンのフロックの裾につかまっていた...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...六山裾の小川沿いに...
直木三十五 「近藤勇と科学」
...宛然(さながら)田舎源氏の殿様の着ているようなボカシの裾模様のある藤紫の夏羽織を重ね...
永井荷風 「申訳」
...俺(お)ら作日等(きのふら)見(み)てえぢやどうすべと思(おも)つたつきや」おつぎは掛蒲團(かけぶとん)を四(よ)つにして卯平(うへい)の裾(すそ)へ置(お)いた...
長塚節 「土」
...袖やら裾(すそ)やらを絞つて居ります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...着物は裾のながいを引いて...
樋口一葉 「ゆく雲」
...番人の上着の裾は誰のよりも余程長い...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 森林太郎訳 「十三時」
...あの裾に色彩りの綺麗な七福神の踊りなどが染め出してある丹前風の上着さ...
牧野信一 「歌へる日まで」
...袴の裾をけって往来したというから断然凄い...
山本笑月 「明治世相百話」
...髪も裾(すそ)も埃にまみれた――しかしどこか気品のある若い女が――門前から中を覗いて...
吉川英治 「大谷刑部」
...と天井の辺で潘(はん)金蓮の四肢(し)と裾(すそ)が蝶の舞いを描いた...
吉川英治 「新・水滸伝」
...――山の裳裾(もすそ)の広い原に麦は青々とのび菜の花は香る...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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