...これだから本の上被い紙はやたらに棄てるわけに行かぬ...
石川欣一 「可愛い山」
...灰色の空を被いだ太平洋が...
石川啄木 「漂泊」
...大きな四ツの蒲鉾なりの木が転がったままで雨被いを冠(かぶ)っておりました...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...おどおどした両の小さい眼を被いかくすほどもじゃもじゃ繁茂していやがる...
太宰治 「ダス・ゲマイネ」
...老生の入歯をも被い隠したりと見え...
太宰治 「花吹雪」
...登子と窕子と引被いて打伏して了つてゐるのに度膽をぬかれて...
田山花袋 「道綱の母」
...わたくしの心に被いかぶさった黒い雲のせいです...
西尾正 「墓場」
...その鋼鉄の被いの反射光で輝き...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「火夫」
...それにはフリーダの毛のショールでみごとなくらい清潔に被いがかけられていた...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...そこで髪の上からトルコの女のするやうに羅(うすもの)を一枚被いて残りの階を登つて行く...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...――被いを去ること...
三木清 「マルクス主義と唯物論」
...頭から総身を外套で洩(も)れなく被い...
南方熊楠 「十二支考」
...皆大いなるものの面をみにくき仮面もて被い...
宮本百合子 「大いなるもの」
...陰気に低くボソボソとそれで居てなかなか執拗に山田の家を被いに掛った...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...その下にハトロン紙で被いのある本を重ねて抱えて...
「海流」
...雑誌を草で被い、カラーのところや裾の切れた外套をその上にぶっかけ、立小便をするような姿勢できき耳を立てた...
「小祝の一家」
...奥テル子に目かくしの被いをして貰った...
室生犀星 「われはうたえども やぶれかぶれ」
...そうして全体に厚い布の被いが用いられた...
柳宗悦 「工藝の道」
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