...しばられた袂の中からようようの思いで襷(たすき)をさぐりだすと...
有島武郎 「星座」
...そこで予はテレ隱しに煙草をのまうと思つて袂を探したが...
石川啄木 「郁雨に與ふ」
...お八重もお定も唯小さくなつて源助の兩袂に縋つた儘...
石川啄木 「天鵞絨」
...と袂から二人揃って...
泉鏡花 「薄紅梅」
...渠は再び袂を握られてゐた...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...自分は袂からハンケチを出し...
太宰治 「人間失格」
...三人の袂や裾を吹いていた...
徳田秋声 「爛」
...袂を顔に押しあてながらされるままになっていた...
豊島与志雄 「潮風」
...三十四を拔き、三十五と成り、故マキノ省三と共に、キネマ界に入り「聯合映畫藝術家協會」を組織し、澤田正二郎、市川猿之助等の映畫をとり、儲けたり、損をしたりし――後、月形龍之介と、マキノ智子との戀愛事件に關係し、マキノと、袂を分つ...
直木三十五 「著者小傳」
...私ははしよつた著物の下から赤いふらんねるの股引をだし長い袂を襷にはさんで伯母さんの背中に小さな万燈をもつてゐた...
中勘助 「銀の匙」
...急にまた他(ひと)の袂(たもと)を捕(つら)まえて放さないし...
夏目漱石 「行人」
...袂(たもと)の出る短いインヴァネスを纏(まと)って表へ出た...
夏目漱石 「門」
...ね京ちゃん」袂から手巾(ハンケチ)を出してとうとう美人像の手に短銃(ピストル)を結えてやりました...
野村胡堂 「踊る美人像」
...平次の袂(たもと)にすがりつくのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「少しお噺し……お……」「今用が有ります」邪慳(じゃけん)に袂を振払ッて...
二葉亭四迷 「浮雲」
...ちょっとあの橋の袂まで行ってみよう...
柳田国男 「雪国の春」
...男は縞(しま)の着物の袂(たもと)で提灯の灯をかばってゆく...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...沢庵の袂(たもと)を持って...
吉川英治 「宮本武蔵」
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