...ここにおいて、番町さんの、泉、はじめて悠然として、下足を出口へ運ぶと、クローク(預所(あずかりしょ))とかで、青衿が、外套を受取って、着せてくれて、帽子、杖(ステッキ)、またどうぞ、というのが、それ覚えてか、いつのこと……...
泉鏡花 「薄紅梅」
...ただし大阪は今日でも婚礼(こんれい)に家柄(いえがら)や資産や格式などを云々(うんぬん)すること東京以上であり元来町人の見識の高い土地であるから封建(ほうけん)の世の風習は思いやられる従って旧家の令嬢(れいじょう)としての衿恃(きょうじ)を捨てぬ春琴のような娘が代々の家来筋に当る佐助を低く見下(みくだ)したことは想像以上であったであろう...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...嫁の着物の衿糸(えりいと)を締めなどした...
徳田秋声 「足迹」
...」家主は毛糸の衿捲(えりま)きを取って...
徳田秋声 「黴」
...頬や衿筋に皺が見えた...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...着物の衿を細く出して...
林芙美子 「帯広まで」
...衿(えり)を背中までずっこかすのはどんな量見なんだ」と...
林芙美子 「清貧の書」
...やってみい」母は衿(えり)にかけていた手拭(てぬぐい)を小指の先きに巻いて...
林芙美子 「風琴と魚の町」
...糊(のり)つけの麻衿(カラア)や...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...夜具衿とタオル二本...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...よく衿のところを合わせて...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...しかしお二人だってそこまでは御存じがない筈だ」掴んでいた島田の衿を放し...
山本周五郎 「おれの女房」
...長襦袢の衿(えり)を左右へひらいた...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...両手で栄二の衿(えり)を掴み...
山本周五郎 「さぶ」
...熱いのをあがってるうちに乾かしますから」うしろから衿(えり)を直し...
山本周五郎 「七日七夜」
...袖や衿(えり)から手を入れて...
山本周五郎 「花も刀も」
...現に弥九郎の着物の衿を眼にもとまらず」「とんでもない」半之助は手を振った...
山本周五郎 「半之助祝言」
...かよは着物の衿(えり)を左右にひらいた...
山本周五郎 「風流太平記」
便利!手書き漢字入力検索