...何んだか心淋しいやうな気持で注意した――インスピレーションが離れ去つて行くやうな――表面的な自己に還(かへ)つて行くやうな――何物かの世界から何物でもない世界に這入つて行くやうな――呼吸が静まるのと正比例して...
有島武郎 「An Incident」
...社会はその人の表面的な行為によって平安をつないで行く...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...表面的な観察者の軽薄な審判はともあれ...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...勿論つければいろ/\な理屈もつくが無理にさう云ふ表面的な理屈をつけた処で根本的な道理が解らなければ矢張り駄目である...
伊藤野枝 「貞操に就いての雑感」
...表面的な銀行預金の外に...
江戸川乱歩 「心理試験」
...これは極めて表面的な鑑識であって...
高村光太郎 「自分と詩との関係」
...前者の表面的な並列はいわゆる夢のような幻影の無意味な行列に過ぎないのであるが...
寺田寅彦 「連句雑俎」
...表面的な泡沫的な狭小な意識の世界を去って...
豊島与志雄 「文学以前」
...表面的な膿瘍は切開で治療するが...
マクス・ノイバーガー Max Neuburger 水上茂樹訳 「医学の歴史」
...武子さんはもうそのころ自分の表面的な職分と...
長谷川時雨 「九条武子」
...それは個々の行爲に對してはじめて發動するといふが如き生やさしき表面的な事柄ではない...
波多野精一 「時と永遠」
...自分が少なくとも表面的な説明をしてやったこの刑執行が与えた印象を読み取ろうとしているようであった...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「流刑地で」
...表面的な出来事は一先づ目をつむるとしても...
牧野信一 「わが生活より」
...私の質問の表面的な不愉快さにたいする反感のために...
三好十郎 「アメリカ人に問う」
...表面的な見舞いに行くほかは近づいて尋ねることもできずに...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...(b)わたしは知らずしらずこういう表面的な印象をすこぶる受けやすい性だから...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...表面的な喜怒哀楽の情に溺れるべきではない...
矢内原忠雄 「帝大聖書研究会終講の辞」
...この際なすべきことの内の最も表面的なものに過ぎない...
和辻哲郎 「地異印象記」
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