...四苦を見て永生への道を思ひ立つた釈迦は凡ての思慮ある人々の心の発奮を表象する...
有島武郎 「運命と人」
...また女の捨てばちな気分を表象するようにピアノの鍵盤(けんばん)をひとなでにかき鳴らしたあとでポツンと一つ中央のCを押すのや...
寺田寅彦 「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」
...考えようではなかなか美しいと思われるのもあるがしかしいずれにしても実に瞬間的(エフェメラル)な存在を表象するようなものばかりである...
寺田寅彦 「カメラをさげて」
...弛緩の極限を表象するような大きな欠伸(あくび)をしたときに車が急に止まって前面の空中の黄色いシグナルがパッと赤色に変った...
寺田寅彦 「初冬の日記から」
...と表象することも出来る...
戸坂潤 「エマヌエル・カント『自然哲学原理』解説」
...然るにこの場合表象するとは思惟するということ以外に意味はあり得ない...
戸坂潤 「幾何学と空間」
...次に吾々は空間内の対象なくしても空間を表象することは出来るが空間がないということは表象出来ない...
戸坂潤 「物理的空間の成立まで」
...云われる如く吾々は形のない色を表象することは出来ない...
戸坂潤 「物理的空間の成立まで」
...ロッツェがリーマンの有限なる空間を批難してそれは空間とその内と形像とを混同したものであると云うのであるが(Metaphysik)空間を空間内の形象と表象することはリーマン空間をそのまま表象したものではなくして表象のこの約束によって表象したまでである...
戸坂潤 「物理的空間の成立まで」
...吾々の表象する無際限な空間はそのまま有限であるとも考えられる...
戸坂潤 「物理的空間の成立まで」
...丁度「鬼」といふ字が表象する所の悽愴感を――感じてゐた...
萩原朔太郎 「芥川龍之介の死」
...あの明朗で官能的な詩人を表象するのも...
萩原朔太郎 「名前の話」
...作家の名前からその作品を表象するのは...
萩原朔太郎 「名前の話」
...おのづから夢の中に變貌して表象する...
萩原朔太郎 「夢」
...吾々はこの現實の事態より抽象して單純にひたすらに外へと伸びる力だけを表象することは出來る...
波多野精一 「時と永遠」
...二つの音が相繼續すると判斷される場合に我々の表象する音と音との關係は...
三木清 「認識論」
...彼が世界の實體と考へたモナドは表象する力であつた...
三木清 「認識論」
...それが意識的に表象するところのものは既に前に無意識的にそのうちに含まれてあつたものである...
三木清 「認識論」
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