...兵員の衣嚢(いのう)やら手箱やらを検査して歩きました...
芥川龍之介 「猿」
...早くさし上げておこうと思って実は何したんでしたが……」といいながら衣嚢(かくし)から二通の手紙を取り出した...
有島武郎 「或る女」
...誰かに持つて行かれたかな?』と雀部は煙草入を衣嚢(かくし)に蔵ひながら笑つた...
石川啄木 「道」
...クラウゼウィッツが「ボナパルトはアペニエンの地理はあたかも自分の衣嚢のように熟知していた」と云っているが如く...
石原莞爾 「戦争史大観」
...私はただ衣嚢(ポケット)の中で小切手を握り締めながら莫迦みたいに妻の背後に佇んでいるにすぎなかった...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...上衣の衣嚢(ポーシュ)から古風な時計をひき出して眺め...
久生十蘭 「犂氏の友情」
...右手を上衣の衣嚢に突っこんで匕首をひきぬいた...
久生十蘭 「金狼」
...チョッキの衣嚢(かくし)から...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...あちらこちらの衣嚢(かくし)から...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...衣嚢(かくし)なんかにははいり切れはしまい」と...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...そして拳で衣嚢(かくし)を叩きながら...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...祖父が五留(ルーブリ)金貨を一つ衣嚢(かくし)からつまみ出さなかつたものなら...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...三人目の男は衣嚢(ポケット)から警察章を出して見せて「吾々は警視庁の刑事だ...
平林初之輔 「犠牲者」
...瀬川は衣嚢から一枚の東京新聞をとりだして...
平林初之輔 「犠牲者」
...私はズボンの時計衣嚢(かくし)から...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「メールストロムの旋渦」
...外套(がいとう)の衣嚢(かくし)に入れて来た...
堀辰雄 「菜穂子」
...『お前(まへ)は未(ま)だ他(ほか)に何(なに)か衣嚢(ポケツト)に持(も)つてるの?』と云(い)ひ足(た)して...
レウィス、キァロル Lewis Carroll 丸山英觀訳 「愛ちやんの夢物語」
...洋袴(パンタロン)の衣嚢(かくし)から取出す銅銭の音が断えず狭い室の話声(はなしごゑ)に混つて響くのも外(ほか)と異(ちが)つて居る...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
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